学生フォーミュラから学ぶ「ノウハウ継承」と「課題解決」:学生フォーミュラ2018(3/3 ページ)
学生が“クルマ作りの総合力”を競う「学生フォーミュラ」。上位を狙うためには、培ったノウハウや技術を先輩から後輩へ継承する手法や課題解決方法、プロジェクト遂行力のあるチーム作りなどが非常に重要となる。常勝校はどう継承しているのか。また課題解決に必要なスキルとは?
「考える」という技術を高めていく
多くの人間が関わる学生フォーミュラでは、人間関係の問題は避けて通れない。VSN執行役員人財採用本部本部長の元吉弘尚氏はこの普遍的なテーマについて「『人間関係に問題がある』と一言でいっても実はわれわれが思っている人間関係と、学生が言う人間関係は、もしかしたら中身が違うかもしれない。それをロジカルに明らかにしていくのが、われわれが提供している課題解決手法。しっかり分析すると『人間関係』と言っているものも実は本質的な課題の一部分でしかないことも多い。実は、明確なゴール設定がされていないのがそもそもの問題で、そこから派生する問題の一つが人間関係なのでは」と語る。
VSNでは、技術力とともに高い問題解決力も備えたエンジニアを育成し派遣する「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」という課題解決サービスを提供している。このVI育成で同社が培った課題解決の手法を、もっと学生に知ってもらいたいと元吉氏は訴える。
「VIは日本の産業界が発展するためにどうしても必要なことだと考えている。課題はどんな現場どんな仕事にもあるわけで、それを表面的ではなく、何が課題の本質なのかを見つけ出し、しっかり解決できるスキルが必要となる。産業界に従事する全員が当たり前のようにそういう考え方ができることが重要。考え方にも技術がある。『考える技術』で高いスキルを持っているのがVI。この考える技術というものをどんどん広めていきたい」(元吉氏)
「考える技術」の習得は早ければ早いほどいい、という思いから小学生へのロジカルシンキング授業も開催しており、すでに10校以上で授業を行った実績を持つ。VSNでは今後も、学生フォーミュラ出場校向けのロジカルシンキングセミナーを積極的に展開していくという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 学生フォーミュラ2018、前例のない事態の中で阪大が優勝、海外の大学が健闘
自動車技術会は2018年9月4〜8日、静岡県袋井市・掛川市内の小笠原総合運動公園(通称「エコパ」)で「第16回 全日本学生フォーミュラ大会」(以下、学生フォーミュラ)を開催した。今回もガソリン車(ICV)と電気自動車(EV)の2部門を設置し、実施した。今回の参加総数は98チーム(国内64チーム・海外17チーム)。今回の総合優勝は大阪大学。 - 学生フォーミュラは「人づくり」の場
学生による自動車競技会「全日本 学生フォーミュラ大会」が今年も開催された。大会関係者はみな「学生フォーミュラはモノづくりだけでなく“人づくり”の場」と口をそろえる。日本最大級の学生モノづくり競技会を、人材育成の観点で紹介する。