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学生フォーミュラから学ぶ「ノウハウ継承」と「課題解決」学生フォーミュラ2018(2/3 ページ)

学生が“クルマ作りの総合力”を競う「学生フォーミュラ」。上位を狙うためには、培ったノウハウや技術を先輩から後輩へ継承する手法や課題解決方法、プロジェクト遂行力のあるチーム作りなどが非常に重要となる。常勝校はどう継承しているのか。また課題解決に必要なスキルとは?

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課題を解決する「論理的思考力」

 論理的思考力(ロジカルシンキング)を身につけることが課題解決につながる――。そこに着目し、積極的に取り入れようとしているのが、2010年から毎年学生フォーミュラに参戦している摂南大学だ。ファカルティアドバイザー(FA)を務める理工学部機械工学科 准教授の堀江昌朗氏によると、同大学では学生フォーミュラチームで引き継ぎがうまくいかない(ドライビングテクニック、スポンサーとのやりとりなど)、リーダーが暴走してしまった(チームビルディングが不十分)といった課題を抱えていたという。

 「技術やノウハウをどう継承していくかという課題は、学生フォーミュラだけでなく企業でも起こり得ることだが、特に学生のレベルでは10あるうち引き継げるのはせいぜい1〜2割ぐらい。引き継げなかった残り8〜9割はどうしていくかというと、もう一度勉強しなければいけない。学生がもっと論理的思考力を身につけ、引き継ぎのシステムがロジカルに構築されていれば、技術やノウハウの継承がもっとうまくできるのではと以前から考えていた」(堀江氏)

 論理的思考の重要性に堀江氏が気付いたのは、自身が一般企業に勤めていた時に課題解決の手法の一つとして学んだ「KJ法」との出会いからだ。ロジカルシンキングを感覚的に覚えられるKJ法によって、堀江氏自身も仕事上の課題を整理することができたという。

 「ロジカルシンキングを学生たちにも身に付けさせたい」という堀江氏の思いに、大会スポンサーとして長年学生フォーミュラの支援を続けているVSNが賛同。今年2月に「一流のプロジェクト遂行術」と題して学生向けにロジカルシンキングセミナーを開催した。セミナーの内容は、学生フォーミュラでのプロジェクトを遂行する上で必要なことに狙いを絞ってカスタマイズされており、指標としてのQCDの重要性やリーダーとフォロワーのあるべき姿、計画と役割の明確化、報連相の重要性、引き継ぎ方法、そして問題発生時の解決手法として帰納法・演繹法・MECEを組み合わせたVSN流課題解決術などが紹介された。

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摂南大学ファカルティアドバイザー堀江昌朗氏(左)とフレーム設計担当の宮内歩乃佳さん(右)

 実際にセミナーを受講したフレーム設計担当の宮内歩乃佳さん(摂南大学理工学部機械工学科3回生)は「こういったセミナーに参加するのは初めてだったが、課題解決においてのロジカルな考え方やツールがあるんだということを知った。自分たちのフォーミュラ活動で置き換えて活用したら、抱えていた課題の解決への道が開けるのではという感触。時間があればチャレンジしてみたい」と語る。

 宮内さん自身も学生フォーミュラにおいて何度も壁にぶつかった経験を持つ。そのほとんどが「チーム内の人間関係」だったという。「これまで辞めようと思ったことは10回以上ある。特に昨年(2017年)の大会直後は本当に辞めようと思っていたが、エンデュランスを完走できなかったという結果が悔しくて、もう一度設計したいという思いが上回った。その一方でチーム一丸となって取り組む団結感や達成感が良くて、それが続けるモチベーションにもなっている」(宮内さん)。

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