低コストFPGAで深層学習、コア技術をオープンソース化したベンチャーの狙い:組み込み開発 インタビュー(2/2 ページ)
LeapMindは2018年10月19日、組み込み向けFPGA上でディープラーニングを動作させるソフトウェアスタックをオープンソースで公開した。同社が今まで強みとしてきた技術が、誰でも利用もできるようになった。同社CTO(最高技術責任者)を務める徳永拓之氏に、blueoilとはどのようなもので、何が実現できるのか。そして、オープンソース化した狙いなどを聞いた。
オープンソース化した経緯と狙い
MONOist オープンソース化した背景や経緯、そしてビジネス上の狙いを教えてください。
徳永氏 オープンソース化を決断した背景として、組み込みディープラーニングの普及を促進させ、社会に貢献したいという思いがある。
前々より、オープンソース化するかという話は社内で度々上がってきた。2018年夏頃に、世間話のつもりで松田(編注:LeapMind社長の松田総一氏)に話を持ち掛けたところ、一気にオープンソース化の流れができてしまった。当初はここまで公開するとは思っていなかったが、松田の中でいつかはオープンソース化しなければならないという思いがあったのかもしれない。
われわれは、「DeLTA(Deep Learning of Things Architecture)-Family」という組み込みディープラーニングのビジネス展開をサポートするソリューションを提供している。このソリューションの中で、DeLTA-LiteやDeLTA-Kitは顧客が手軽にディープラーニングを実装するためのサービスとなる。反対に、「共同研究」のビジネスも行っており、これは顧客と共同で困難なテーマに対して実験を行うサービスだ。
Blueoilは、これらビジネスのコアにあたる部分だ。これをオープンソース化することで、まずわれわれの認知を高める狙いがある。そして顧客の裾野を広げたい。また、Blueoilを利用する顧客がエンタープライズサポートを求める場合、有償で引き受けることも考えている。
今後の開発方針について
MONOist Blueoilは今後、LeapMindで広告塔の役割を担っていくのですね。では、Blueoilの開発はLeapMindでどのような位置付けになりますか。また、外部から開発に参加したいという申し出があった場合はどうなるのでしょうか。
徳永氏 これまで以上に、力を入れて開発したいと考えている。外部からの開発参加も大歓迎だ。
外部開発者とのコミュニケーションは、GitHubを通じて行う。機能追加の要望があれば、ドキュメントベースでいただきたい。開発に関する議論をオープンにしていきたいと考えている。
MONOist オープンソース化しユーザーが増えていくためには、さまざまなハードウェア環境で動作することが求められます。ハードウェア対応について今後の方針はありますか。
徳永氏 現時点で対応しているハードウェアは、Intel製ローエンドFPGAの「Cyclone V SoC」だ。今後、同じくIntelの「Cyclone 10」や、Xilinx製のローエンドFPGAをサポートする計画がある。さらに、Lattice SemiconductorやMicrosemiのFPGAにも対応したいと考えている。
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