10業種に対応する画像解析AIサービス、300種以上の学習済みモデルをプリセット:人工知能ニュース
オプティムはAI(人工知能)画像解析技術で各業界特有の課題解決を実現するパッケージサービス「AI Camera」をはじめとする4つのAIサービスを発表。AI Cameraは、小売や飲食、鉄道などの10業種に対して300種以上の学習済みモデルを適用したメニューを備えており、低コストで早期に実用化できることを特徴としている。
オプティムは2018年10月11日、東京都内で会見を開き、AI(人工知能)画像解析技術で各業界特有の課題解決を実現するパッケージサービス「AI Camera」をはじめとする4つのAIサービスを発表した。AI Cameraは、小売や飲食、鉄道などの10業種に対して300種以上の学習済みモデルを適用したメニューを備えており、低コストで早期に実用化できることを特徴としている。AI Cameraの価格は、ベーシックパックがカメラ1台当たり月額1万円。2018年11月末にサービス提供を始める予定だ。
同社 社長の菅谷俊二氏は「当社は、各産業とITを組み合わせる『○○×IT』により、全ての産業を第4次産業革命型産業に再発明するための取り組みをここ数年で進めてきた。その中で、企業のAIニーズには一般性と専門性があることが分かってきた。今回発表する4つのAIサービスは、これまでの取り組みの成果を基に、10の業種が求める一般的かつ専門的なニーズに対して、誰にでも分かりやすく、すぐに使え、オープンかつ拡張性があり、費用対効果も実現できるという実用的なサービスとして設計した」と語る。
4つのAIサービスは、AI Cameraの他、定量データ解析サービスの「AI Prediction」、音声解析サービスの「AI Voice」、さまざまな現場の遠隔作業支援にAI CameraとAI Voiceの機能を追加した「Smart Field」になる。中でもAI Cameraは、オプティムが各産業パートナーと構築してきた300種以上の学習済みモデルがベーシックパックにプリセットされており「自社でデータを用意してモデルの学習を行わなくても、一定以上の精度を持った画像解析が可能になる」(菅谷氏)という。
またAI Cameraのベーシックパックは、画像解析の結果だけを用いて定量データ解析を行う「AI Prediction Basic」の機能も標準で組み込まれており、簡単なトレンド予測も行えるようになっている。また、カメラの画像や画像解析結果を表示するためのダッシュボード機能も備える。
「AI Camera」のダッシュボード画面。画面の右側にあるグラフの「かんたん予測」は、「AI Prediction Basic」の定量データ解析の結果を利用できる(クリックで拡大) 出典:オプティム
AI Cameraはより業界に特化したAI機能もラインアップしており、これらはオプションメニューとして提供される。価格はカメラ1台当たり月額5000〜1万5000円。さらに専門性の高いAI機能についてはプロフェッショナルプランとして個別見積もりになっている。
なお、AI Cameraを利用するには、カメラと接続するためのエッジ端末が必要になる。ミニタワー筐体のPCをベースとする「OPE-1」や、スリム筐体のゲートウェイとなる「OPE-2」などがあり、これらエッジ端末とその設置に要する初期費用は、カメラ1〜2台で45万円、3〜5台で80万円、6〜10台で135万円となっている。
各産業で共通するAIニーズに対応、専門性もカバー
AI Predictionのうち、AI Prediction BasicがAI Cameraに含まれているのは先述の通りだが、画像解析の結果以外のさまざまなデータを組み合わせてさらに詳細な予測を行うための「AI Prediction Professional」は、AI Cameraのプロフェッショナルプランと同様に個別見積もりになっている。
AI Voiceは、スマートフォン版とPCのWebブラウザ版がある。1ID当たりの価格は、スマートフォン版が月額500円、PCのWebブラウザ版が月額5000円。Smart Fieldは、1ID当たり月額1980円でサービスを提供する。なお、AI VoiceとSmart Fieldは2018年内のサービス提供となる。
菅谷氏は「各産業が最初にAIを必要とするニーズは、それぞれ特有のものであることが多く専門性が高い。しかし実際には、それ以外にもAIを必要としており、それらはセキュリティ、業務効率改善、マーケティングなどニーズが共通している。今回のAIサービスでは、これらの共通するニーズを標準機能でカバーしており、より専門性が高いニーズにはオプションメニューやプロフェッショナルプランで対応する内容になっている。AIの実用化を目指しているのであれば、ぜひ利用してほしい」と述べている。
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