ホンダとGMが無人ライドシェアで協業、ソフトバンク出資のクルーズが核に:自動運転技術
GMクルーズホールディングス(クルーズ)とGM、ホンダの3社が自動運転技術を活用したモビリティの変革に向けて協業すると発表。ホンダはクルーズに、合計で約27億5000万米ドル(約3130億円)の投資を行う。
GMクルーズホールディングス(GM Cruise Holdings、以下クルーズ)とGM(General Motors)、ホンダの3社は2018年10月3日(現地時間)、自動運転技術を活用したモビリティの変革に向けて協業すると発表した。さまざまな使用形態に対応するクルーズ向けの無人ライドシェアサービス専用車を共同開発するとともに、無人ライドシェアサービス事業のグローバル展開の可能性も視野に入れる。ホンダは協業のために、クルーズに7.5億米ドル(約853億円)を出資し、同社の今後12年間の事業資金となる約20億米ドル(約2276億円)も提供。合計で約27億5000万米ドル(約3130億円)の投資を行う。
クルーズは、GMが買収したCruise Automationを母体とする、自動運転技術の研究開発や実証を行う子会社だ。2018年5月には、ソフトバンクビジョンファンド(SVF)がクルーズに約2450億円を出資すると発表している。今回のホンダの出資と協業により、当事者間における取引実行後のクルーズの企業価値評価額は146億米ドル(約1兆6600億円)になると算定されているという。
GM 会長兼CEOのメアリー・バーラ氏は今回の提携について「GMとホンダとのこれまでの電動車領域の協業、またわれわれとクルーズとの関係を考慮すれば極めて合理的な展開だった。ホンダとの協業で、世界トップレベルの車両デザイン、開発、生産技術をクルーズに供給することができ、無人ライドシェア事業のリーダーとしてグローバルな事業展開を実現する」と語る。
ホンダ 副社長の倉石誠司氏は「ホンダが、クルーズおよびGMとの協業を決めた理由は、彼らが無人ライドシェアや電動化といった先進領域で業界をけん引していること、また『CO2ゼロ』『事故ゼロ』という共通のビジョンを持っていたからだ。われわれの得意とするお客さま中心のデザインパッケージおよび内外装の設計技術で、魅力的な無人ライドシェアサービス専用車両の開発を実現していく」と述べる。
クルーズ CEOのカイル・ヴォグト氏は「GMとソフトバンクに加え、新たにホンダが加わることで、クルーズはグローバルで安全な自動運転技術を普及させるための十分な経営資源を獲得した。また、ホンダとの協業により、優れたデザイン、効率性の高い、無人ライドシェアサービス専用車両を得て、事業の拡大を図って行くことができる」とコメントしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- GMの自動運転は“都市”で鍛え中、工事現場や信号機故障にも対応
ソフトバンクグループは2018年7月19〜20日、都内でユーザーイベント「Softbank World」を開催し、基調講演の中でGeneral Motors社長のダニエル・アマン氏が登壇し自動運転技術について語った。 - 自家用車の自動運転は2025年以降? トヨタ奥地氏「NVIDIAでは厳しい」
トヨタ自動車 常務役員の奥地弘章氏が、2018年7月20日開催の「CDNLive Japan 2018」で「自動運転技術への取組み」と題する特別講演を行った。自動運転に関するトヨタ自動車の考えや実現へのキーテクノロジー、課題などが紹介された。 - なぜ“自動運転”の議論はかみ合わない? レベル3とレベル4を分けるのは
「人とくるまのテクノロジー展2018」の主催者企画の中から、筑波大学 システム情報系 教授である伊藤誠氏の「自動運転」に関する講演を紹介する。 - 世界を席巻する黒船「MaaS」が本格上陸へ、日本の自動車業界に迫る決断の時
ウーバー(Uber)に代表されるライドシェアやカーシェアは「MaaS(Mobility-as-a-Service)」として、世界各地で急激に市場を拡大している。日本でも、間もなくMaaSの本格導入が始まる可能性が高い。このMaaSに対して日本の自動車業界はどう対応するのか。決断の時が迫っている。 - ホンダもグーグルと自動運転を共同開発、フィアットクライスラーに続くか
本田技術研究所は、Waymoと完全自動運転の共同研究に向けた検討を開始したと発表した。Waymoは、Googleの親会社であるAlphabetが新設した自動運転技術の開発会社で、Googleが2009年に始めた自動運転開発を引き継いでいる。 - 運転支援システムの有用性が自動運転の受け入れイメージを作り出す
「オートモーティブ・ソフトウェア・フロンティア2016」の基調講演に本田技術研究所 四輪R&Dセンター 上席研究員の横山利夫氏が登壇した。ホンダの自動運転の取り組みを紹介。また、2016年は「Honda SENSING(ホンダ センシング)」に新たな機能を加え、運転に伴う負担をさらに軽減していく。