マイクロソフトのヘルスケアクラウドは三位一体で展開「日本の医療に寄り添う」:医療機器ニュース(2/2 ページ)
日本マイクロソフトがヘルスケア分野における取り組みについて説明。同社のパブリッククラウド「Azure」を中心に、医療機関、製薬メーカー、医療機器メーカー、研究機関などへの提案を強化し、ヘルスケア分野の売上高を今後3年間で1.5倍に伸ばすとともに、クラウドの売上高比率も現在の40%から70%まで高めたい考えだ。
賛同パートナーと1年間で100件の新ソリューションを生み出す
「セキュアクラウド」では、グローバルと日本とも、ヘルスケア業界と政府が定めるコンプライアンス認定を取得している。内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の政府統一基準レファレンスで最上位の「CS Gold」を取得しているクラウドベンダーは、日本マイクロソフトだけだ。きりんカルテシステムやシーエスアイといった電子カルテベンダー、シーメンスヘルスケア、富士フイルムなどの医療機器メーカーにも採用されている。
「ワークスタイルイノベーション」では、Microsoft 365などによる院内業務の効率化で貢献している。会見では、済生会熊本病院による「Microsoft Teams」や「Microsoft Forms」による業務効率化事例を紹介。会見に登壇した済生会熊本病院 院長の中尾浩一氏は「当院は2020年までの中期ビジョンとして『世界水準の医療を提供する』を掲げている。そのための、高品質な医療を効率的に提供する働き方改革に、Microsoft Teamsなどが大変役立っている」と説明する。
「アドバンストテクノロジ」では、AI(人工知能)やMR(複合現実)といった先進技術を、医療行為(Clinical)と医療業務(Operational)の両面で展開している。例えば、世界で約8000人が所属するマイクロソフトのAI研究チームが手掛ける、CTやMRIの2D画像を3D化する「InnerEye」は、医療画像解析を行うIRIS(Intelligent Retinal Imaging Systems)が糖尿病網膜症の早期発見に活用している。MRでは、内科医の研修や手術シミュレーション、タンパク質解析システムと連携した創薬などで、同社のMRヘッドセット「HoloLens」が用いられているという。
大山氏は「ヘルスケアのデジタル化、クラウド化は当社だけでは実現できない。賛同パートナーとの協調が必要不可欠だ。2018年度は賛同パートナーとともに、1年間で100件の新ソリューションを生み出したい。また2018年10月には、ヘルスケア分野でのより横断的な活動を推進するデジタル推進室を設置する。日本の医療に寄り添った活動を強化していきたい」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- マイクロソフト「Azure IoT」の強みはやはり「Windows 10 IoT」にあり
マイクロソフトのIoT向けクラウドサービス「Azure IoT」は、機能面ではアマゾンの「AWS IoT」と肩を並べている。しかし、Azure IoTの強みは、やはり組み込みOSである「Windows 10 IoT」との連携にこそある。 - 「Azure Sphere」の半端ない専用チップコストは下げられるのか
2018年4月にMicrosoftが発表した「Azure Sphere」。「Windows 10」よりも高いセキュリティ機能を担保できるソリューションであることをうたっているが、現時点では高価な専用チップが普及に向けてのボトルネックになりそうだ。 - マイクロソフトが日本で取り組む3つのイノベーション
日本マイクロソフトは2018年8月6日、新年度(2019年6月期)の戦略方針を発表。コンサルテーション部門や業種別営業担当者の増員により産業領域のデジタルトランスフォーメーション(デジタル変革、DX)への取り組みを強化する方針を示した。 - インテリジェントなエッジとクラウドの連携からマイクロソフトが生み出すもの
日本マイクロソフトが開発者向け年次イベント「de:code 2018」(2018年5月22〜23日)を開催。初日の基調講演では、クラウドプラットフォーム「Azure」や統合開発環境「Visual Studio」、MR(複合現実)などの最新技術について来日した米国本社の担当者が紹介した。 - 船舶の自動航行をMRとAIで実現するJRCS、マイクロソフトはHoloLensで陸海空制覇
JRCSと日本マイクロソフトは、MR(複合現実)やAI(人工知能)などを活用して海運・海洋産業の働き方改革を推進するプロジェクト「JRCS Digital Innovation LAB」を開始する。JRCSは、同プロジェクトで開発する遠隔トレーニングや船舶の自動航行サービスなどを中核とするデジタルイノベーション事業を拡大する方針。 - 建設現場を変えるIoT基盤はAzureを採用、グローバル対応などを評価
日本マイクロソフトは都内で日本におけるデジタル変革への取り組みと現状について説明。建設IoT基盤「LANDLOG」にAzureが採用されたことを発表した。