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日立がEV向けSiCパワー半導体、耐久性向上とエネルギー損失半減を両立電気自動車

日立製作所は2018年8月30日、電界強度を40%低減し、エネルギー損失を半減させる高耐久性構造の車載向けSiC(炭化ケイ素)パワー半導体「TED-MOS」を開発したと発表した。

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 日立製作所は2018年8月30日、電界強度を40%低減し、エネルギー損失を半減させる高耐久性構造の車載向けSiC(炭化ケイ素)パワー半導体「TED-MOS」を開発したと発表した。SiCトランジスタで一般的なDMOS-FETを基本構造とし、ヒレ状のトレンチを形成した新構造「Fin状トレンチ」が特徴となる。電気自動車(EV)のインバーターの省エネ化に貢献する技術として実用化を目指しながら、社会インフラシステムのさまざまな電力変換機にも提案していく。

 従来のトレンチ型SiC MOS-FETは、トレンチ底角に電界が集中しやすく、高耐久性との両立が課題となっていた。これに対し同社は、産業向けに耐圧3.3kVのFin状トレンチ型DMOS-FETの開発を進めるとともに、トレンチ間隔を狭めることで耐圧を維持しながら低抵抗化できることを明らかにした。今回発表したTED-MOSは1.2kV耐圧で、産業向けよりもさらに高電流密度が求められるEV向けに開発した。


開発したSiCパワー半導体の構造(クリックして拡大) 出典:日立製作所

 具体的には、電流が集中するデバイス中央部に電圧のかかり方を緩和する電界緩和層を新たに設けて電界強度を大幅に低減。さらに、デバイス中央部を低抵抗化する電流拡散層も設け、SiCの中でも抵抗の小さい結晶面であるFin状トレンチの側面とつながる電流経路を持ったデバイス構造とした。これにより、電界強度と抵抗の低減の両立を実現したとしている。

 この構造を試作品で検証し、電界強度を従来のDMOS-FETと比較して40%低減するとともに、EVの駆動用モーターに求められる1.2kVの耐圧を確保しながら抵抗を25%低減できることを確認した。また、Fin型トレンチの構造との組み合わせによりデバイスのオンオフ切り替えが速くなり、切り替え時の電流によるエネルギー消費を半減することも達成したという。

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