MaaS時代の一人一人に合わせたサービスへ、変わる自動車保険:つながるクルマ キーマンインタビュー(3/3 ページ)
トヨタ自動車がクラウン、カローラスポーツを皮切りに展開を強化するテレマティクス保険について、あいおいニッセイ同和損害保険 トヨタ事業部 部長の荒川裕司氏と、トヨタ自動車 国内企画部 コネクティッド・新規事業PT プロジェクトリーダーの垣迫和行氏に話を聞いた。
MaaSで自動車保険はどう変わるか
MONOist テレマティクス保険にはどのような競争が生まれますか。
荒川氏 お客さまに受け入れられる付加価値、差別化をどう作っていくかがテーマになる。今の技術の中で、取り入れられる最大限のサービスを出していると考えている。これで完成だとは考えていない。運転の楽しさを保険にも反映し、アピールしていこうと考えている。また、コネクテッドカーとのデータ連携は、お客さまの利便性の面でも武器になる。トヨタ自動車のDCMはデータを飛ばす前提でつくられており、最初からクルマに搭載されている。お客さまが自分で連携などの作業をする必要がない。商品のベースとしてはありがたいことだし、差別化を図れる。
安全運転に帰することも付加価値だが、もちろん、事故を起こした後の付加価値として、衝撃検知があったときに安否確認コールを始める。コネクテッドカーだからこそできるサービスだ。
垣迫氏 リアルタイムなジャストインタイムのサービスを提供すること、ヒューマンコネクテッドなサービスにこだわることがテーマになる。ヒューマンコネクテッドはオペレーターや販売店のヒトがお客さまに接するということだ。オペレーションに磨きをかけるために、具体的なオペレーションを現場に習得してもらっている。販売店とメーカーでお客さまに向き合った、しっかりとしたサービスを作っていきたい。安心安全はクルマを楽しんでもらうための土台であり、コネクテッドカーだからこそ提供できる価値もあると考えている、
MONOist MaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)が浸透すると、自動車保険はどう変わる必要がありますか。いつどのクルマを運転するか分からない場面も出てくるのではないでしょうか。
荒川氏 基本的な方向性としては、コネクテッドカーから得られるデータをより活用していくことになる。その例として、人にひもづいたOne to Oneの保険がある。今はクルマ単位で保険料が決まっているが、ユーザーの個々の運転習慣に基づいた保険になれば、所有するクルマ以外を運転する状況にも対応できるだろう。今回のテレマティクス保険はそのスタートになる。ここを進化させることで、保険サービスにもさまざまに反映ができると考えている。
One to Oneの世界が広がるということは、個々人のデータをどのようにとるかがポイントになる。ドライバーの判別に関する技術や、車内外のカメラで得られる情報などが増えれば、自動車保険の可能性も広がるだろう。
垣迫氏 所有する使い方は一定数が残ると考えているが、利活用の世界が広がることを含めても、クルマに乗ってもらうのはお客さまとの大事な接点になる。「所有」にこだわりすぎず、利活用のユーザーともいかに接点を持つかは、大事にしていきたいポイントだ。
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