FPGAの特徴とは? 他デバイスと比較してみよう:新・いまさら聞けないFPGA入門(前編)(3/3 ページ)
MONOistの人気解説記事「いまさら聞けないFPGA入門」が公開された2006年9月から10年以上が経過し、FPGAを取り巻く状況も大きく変わっています。そこで、あらためてFPGAの基礎から最近の動向までを含めて解説する「新・いまさら聞けないFPGA入門」を公開します。前編は、FPGAの特徴について、ASICやASSP、GPU、CPUと比較して説明します。
コスト、性能、柔軟性、消費電力の比較
ここからは、各種デバイスのコスト、性能、柔軟性、消費電力を比較していきます。
デバイス | FPGA | ASIC | ASSP | GPU | CPU |
---|---|---|---|---|---|
コスト(単価) | ○ | ◎(単価は安いが初期投資は高い) | ◎ | ○ | ○ |
性能 | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
柔軟性 | ◎ | × | × | ○ | ◎ |
消費電力 | ○ | ◎ | ◎ | × | × |
表 各種デバイスのコスト、性能、柔軟性、消費電力の比較 |
コスト
ASICが単価としては最も安価ですが、NRE(半導体ICの製造を工場へ依頼する際に最も高価といわれるフォトマスクをはじめとしたコスト)が膨大になる。最先端の微細化プロセスを適用した高性能のASICであれば5億円に達するとも言われています。
FPGAは、今から20年程前までは試作にしか使われていませんでしたが、近年はあらゆる分野で量産製品に組み込まれるようになって出荷数が増えています。微細化の恩恵も受けて、他のデバイス種と比べても一定の競争力も持つようになっています。
性能
ASICとASSPは、既に最適化された専用回路がチップに搭載されているためにユーザーがチップの仕様性能が引き出せるかどうかを心配はする必要はありません。一方、FPGAは求める回路を自ら設計をしなくてはならないために、所望の性能を引き出すには自ら回路を最適化する必要があります。GPUとCPUも、同じようにそれぞれのデバイスのアーキテクチャに最適化されたソフトウェアの設計が必要となります。
柔軟性
FPGAは、チップに既に搭載されているLUT(Look-up Table、組み合わせ論理)やフリップフロップ、内蔵RAM、DSPの組み合わせや、各ブロックの配線を自由に再構成できるので、FPGAのリソースが許す限りユーザー仕様の回路が実現できます。また、いつでも再構成が可能なために、将来的に必要となった機能を後に追加することも可能です。
一方、ASICは、デバイスの最終的な設計内容を決定するまでは変更可能ですが、一度製造工程に入ってしまった後では回路を変更できません。ASSPも同様に、特定の機能に限定したデバイスであるため、ユーザーが回路を変更することはできません。
GPUとCPUは、FPGAと同様に外部よりプログラムをダウンロードし内部コアを動作させるので、一度完成させた後でも機能追加、バグの修正は可能です。なお、GPUは計算処理が得意なデバイスであるため複雑な制御処理プログラム(分岐制御)が苦手です。
消費電力
GPUとCPUは、コアを1GHz以上で動作させているために大きな消費電力が必要になります。特にGPUは、莫大な数のコアを搭載しているので非常に大きな消費電力になります。一方、FPGA、ASIC、ASSPは、専用回路で処理を行うので動作周波数を低く抑えられます。このため、GPUやCPUと比べて低消費電力が可能になるのです。
後編は、最新のFPGAの設計ツール、使用されるエンドマーケットについて解説します。お楽しみに!
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