精密点検期間を2分の1に短縮するタービン発電機検査ロボット:FAニュース
東芝エネルギーシステムズは、タービン発電機の検査を短期間で実施するロボットを開発した。回転子を引き抜かずに、従来の約半分の12日程度で発電機内の回転子と固定子が点検できる。
東芝エネルギーシステムズは2018年7月9日、タービン発電機の検査を短期間で実施するロボットを開発したと発表した。回転子を引き抜かずに、従来の約半分の12日程度で発電機内の回転子と固定子が点検できる。2019年4月の点検サービス開始を目指す。
同ロボットは、固定子側に3本のアームで突っ張りながら、ロボットを回転子に押し付けて走行する。従来のロボットでは点検が難しかったバッフル付き発電機でも、3本のアームを順番に折り畳みながらバッフルを回避して走行し、詳細に点検できる。また、回転子の表面を走行して最適なポジションから高精細カメラで回転子コイル通風孔を撮影する。
液体接触媒質を使わない超音波探傷検査機構を搭載し、回転子や回転子コイルを保持するくさびの内部に生ずる亀裂を固定子から回転子を引き抜かずに検出できる。また、点検時の検出精度を回転子を引き抜いた状態と同等にする「多チャンネル超音波プローブ」を装備した。
さらに、小型軽量で打振力に優れたハンマー機構と高精度な音響診断アルゴリズムを開発。これにより、専門検査員による診断と同等の精度で、段階的な緩み診断を行える。
他にも、自動直進制御、自動走行、自動検査、自動診断などを行うアルゴリズムにより、高精度な検査においても操作員によるコントロールが不要となった。また、設計データをあらかじめロボットにインプットし、検査時間の予測と診断結果の確認を同時に実施できるようにした。
外形寸法は35×480×380mmで、質量は4.7kg。同社製の200MVA級以上の中大型火力機や、原子力機の点検に対応する。
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