検索
特集

電動スクーターを“普通に”使えるように、台湾二輪車メーカーはインフラ計画も描く台湾電動スクーターメーカーの野望(前編)(2/3 ページ)

日本では現在、クルマの世界ではハイブリッド車の存在感が増し、少しずつ電動化の流れが強まってきていることを実感している人は多いはず。しかし2輪では、台湾が日本のはるか先を行く。そんな思いを抱かせる新型スクーターが登場した。

Share
Tweet
LINE
Hatena

バッテリー交換、家庭のコンセント……多様な充電手段が特徴

 Many 110 EVとNice 100 EVのボディーは、電動モデルとして新しく開発されたものではない。外観は既存のエンジンモデルのMany 110、Nice 100とほとんど変わらず、細部を見なければ電動だとは気付かない。Many 110はややクラシカルな落ち着いた雰囲気、Nice 100はシャープで若々しいデザインだ。

 しかし、そのメカニズムは、既存の車体に電動パワートレインを搭載する「コンバージョンEV」の域をはるかに飛び越えた独創性に満ちている。壮大なインフラ計画でもあるIONEXの全容については後ほど紹介することにして、まずは車両を紹介していきたい。

 2台とも、2本の交換式の駆動用バッテリーをフットボード下に収納している。交換式バッテリーはリチウムイオン電池で、1本の重量は5kgだ。交換作業を容易にするため、収納時は寝かされているバッテリーケースが交換時には電動で90度回転して起き上がり、簡単に抜き差しできるようになっている。

リチウムイオンバッテリーはIONEXの充電ステーションに合わせた専用デザイン。スロットに差し込んで充電する仕組み(クリックして拡大)

 ただし、動力源はこの交換式バッテリーだけではない。交換式バッテリーとは別に「コアバッテリー」と呼ぶ小型の駆動用バッテリーも車体に搭載されているのだ。さらにコアバッテリーには、ケーブルを使って家庭用コンセントから「プラグイン充電」することもできる。つまり、交換式バッテリーを搭載しない状態でもそこそこの距離を走行し、なおかつ充電できるというわけだ。

 交換式バッテリーは取り外して自宅に持ち込んで充電できる他、街の各所に設置した充電ステーションでの急速充電にも対応している。さらに、満充電の交換式バッテリーを車体に装着すると、自動的にコアバッテリーへの充電もスタートする仕組みになっている。

 ここまで多様な電力供給手段を搭載しているのは「電欠の心配を払拭する」というシンプルな理由が背景にある。時速30kmの定速走行での走行距離は、コアバッテリーと1本の交換式バッテリーの合計で60kmを確保した。通勤や通学、買い物などで市街地の短距離を移動するコミューターとしては問題なく使えるようにしている。さらにこれを補完するのが、各所に設置された充電ステーションなどの給電ネットワーク、IONEXというわけだ。

 ちなみに車体重量は、全てのバッテリーを除いた状態でMany 110 EVが87kg、Nice 100 EVが77kg。バッテリー満載時はこれに15kgが加わるわけだが、それでも通常の125ccスクーターよりは若干軽量に抑えられている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る