少ない学習データでも活用できる3つの機械学習技術を開発:人工知能ニュース
NECは、機械学習技術で必要とされる大量のデータが得られない状況でも活用可能な3種類の機械学習技術を開発した。同技術により、従来の機械学習技術では効果が十分に発揮できないような場面でも、機械学習の活用が期待される。
NECは2018年7月10日、機械学習技術で必要となる大量の学習データが得られない状況でも活用できる、3種類の機械学習技術を開発したと発表した。従来の機械学習技術では効果が十分に発揮できないデータ収集の初期段階や、データ収集コストが高い環境でも、機械学習の活用が可能になる。
今回開発した技術は、(1)学習効率の高いデータを能動的に収集して学習する技術、(2)収集データを基にパラメータの修正を自動で繰り返し、正しいパラメータを推定する技術、(3)AIの分析結果に基づく意思決定時に、少数データの偏りに影響されにくい意思決定を可能にする技術の3つとなる。
(1)では、各業務・領域で専門知識を持つ人が把握している物事の因果関係(例えば、肥料の成分と植物の育成の関係)に関するノウハウを数値化して活用する。学習効率の高いデータを能動的に収集して学習できるため、より少ない収集データで学習が可能だ。
(2)では、パラメータ値の異なる複数のシミュレーション結果の類似度に基づき、パラメータ値の修正を繰り返すことで、正しいパラメータ値を推定する。これにより、実データが少なくても、多数のシミュレーションパラメータが必要な複雑なシミュレーションが行える。
また、(3)では、収集したデータの学習用と効果評価用に分割するパターンを複数準備し、それぞれの効果評価結果を平均する。学習データが少ない場合、効率的な資産配分の決定など、AIの分析結果を基にした意思決定の効果を大きめに見積もるという問題が生じる。同技術により、より正確な効果の見積もりが可能になり、少数データの偏りに影響されずに、より正しい意思決定ができるとしている。
関連記事
- AIと機械学習とディープラーニングは何が違うのか
技術開発の進展により加速度的に進化しているAI(人工知能)。このAIという言葉とともに語られているのが、機械学習やディープラーニングだ。AIと機械学習、そしてディープラーニングの違いとは何なのか。 - 機械学習はどうやって使うのか――意外と地道な積み重ね
前編では、AI(人工知能)と機械学習、ディープラーニングといった用語の説明から、AIを実現する技術の1つである機械学習が製造業を中心とした産業界にも徐々に使われ始めている話をした。後編では、機械学習を使ったデータ分析と予測モデル作成について説明する。 - 世界を変えるAI技術「ディープラーニング」が製造業にもたらすインパクト
人工知能やディープラーニングといった言葉が注目を集めていますが、それはITの世界だけにとどまるものではなく、製造業においても導入・検討されています。製造業にとって人工知能やディープラーニングがどのようなインパクトをもたらすか、解説します。 - ディープラーニングの事業活用を可能にする「ジェネラリスト」の重要性
AI技術として注目を集めるディープラーニング。ディープラーニングへの取り組みを進めていく上で必要とされる人材には「エンジニア」の他に「ジェネラリスト」も必要だ。本稿では、ディープラーニングの「ジェネラリスト」に何が求められるかについて解説する。 - NECが訴えるモノづくりデジタル変革、AIの活用範囲拡大
NECは「第29回 設計・製造ソリューション展」(以下、DMS2018、2018年6月20〜22日、東京ビッグサイト)に出展し、モノづくりデジタル変革において得られる価値を訴えた。 - AIとIoTの活用はモノづくり革新の現実解へ、NECが導入事例など成果を訴求
NECは、ユーザーイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2017」において、自社での実践事例と多くの導入事例などをもとに、現実感の増したスマートモノづくりソリューションをアピールした。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.