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「モノ売り強者」が「コト売り」に挑戦する理由、村田製作所の場合MONOist IoT Forum 名古屋2018(後編)(2/3 ページ)

MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2018年7月12日、名古屋市内でセミナー「MONOist IoT Forum in 名古屋」を開催した。名古屋での同セミナー開催は2度目となる。

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知財から見る第4次産業革命

 IPTech特許業務法人の湯浅氏はランチセッションで「第4次産業革命と知財」の関係性について発明した。

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IPTech特許業務法人 副所長兼COOの湯浅竜氏

 湯浅氏は「特許が産業やビジネスでの価値を守るものという考えに立つと、産業の変遷によって、特許や知財の在り方も合わせて変化してきたといえる」と説明。第1次産業革命の時代から、現在の第4次産業革命までの知財の在り方について考えを述べた。

 第1次産業革命から第2次産業革命までの間は蒸気機関を中心にした内燃機関により自動化が進んだ時期だ。その時期に米国で発明王といわれるトーマス・エジソン(Thomas Edison)やジェームズ・ワット(James Watt)などが生まれ、特許の考えが定着した。「エジソンの晩年は実は特許紛争に終始していた」(湯浅氏)。

 湯浅氏は「この頃の特許紛争の様子などを見ると、基本的に知財は『差止請求権の行使に使うためのもの』という考え方だった。自分の権利を使用する人に対し『使うのをやめろ、やめないならお金を払え』というものだ」と当時の考え方を紹介する。

 その後、第2次産業革命以降は、電気を活用したより複雑な製品の大量生産が始まった。この時期は「多くの部品などが使われるようになり、製品を作るためには、1つの製品で100〜1000件の特許が必要になった。しかし、誰の特許も侵害しないような製品はあまり世の中に必要なものだとはいえない。そこで、周知技術については相互に活用しようという『クロスライセンス』の考え方が一般的になってきた」と湯浅氏は説明する。

 さらに「クロスライセンス化に持ち込む前提として『交渉』のフェーズがある。既に誰の特許にも触れずに製品を開発するのが難しい時代であり、誰かに訴えられる危険性は常にある。訴えられた際に、逆に保有特許で訴え返し、そこで交渉に持ち込む。妥協案を探り、クロスライセンス化を行うという方法だ」と湯浅氏は述べる。

 コンピュータの要素が入った第3次産業革命では、国際分業の動きが広がってきたのが特徴だ。「さまざまな国にサプライチェーンが伸びる中で、同じ国の中でのクロスライセンスでは限界が見えてきた。そこで、国際標準化やパテントプールの考え方が定着した」と湯浅氏は語る。

 これらで見てきたように、知財は産業の変化に合わせて変化してきた。「産業によってはこれらの進捗度は異なる。医療や化学などはこうした変遷の途上にあるともいえる。業種によっても変わるもの、変わらないものがある。これらを見極めることが重要だ」と湯浅氏は述べる。

第4次産業革命に必要な知財の前提

 それでは、第4次産業革命時代に必要な知財の考え方とはどういうものなのだろうか。湯浅氏は事前整理として特許権の在り方を説明する。「よく勘違いされるのだが特許権の効力は排他権だ。独占を保証するものではなく『何をさせないか』と考えることが重要だ。『何をさせないか』ということをうまく組み合わせて独占が守られるようにするということが知財戦略である。他社に絶対やらせたくないところはどういう領域で、その特許が本当に取れるのか、取れないのかという順番で考えなければならない」(湯浅氏)。

 こうした考えをもとに、第4次産業革命を考えた場合、重要なのは「データをどう守るか」ということだ。しかし、現行法では「データ」そのものを守る法律はない。そこで湯浅氏は「データを知財としてどう守るかということを考えた場合、現行法に基づくならば、2つの方法が考えられる。1つはデータ構造で特許をとるということ。もう1つがデータ収集システムとして特許を取るということだ」と考えを述べる。

 さらに、湯浅氏は第4次産業革命時代の知財の課題として属地主義の課題を挙げる。「基本的には特許権の効力は取得した国にしか及ばない。インターネットでデータが行き来する時代に、データによる新たなサービスビジネスを考えるとこの属地性の問題は必ず行き当たることになる。ここは法律が現在のビジネスモデルに間に合っていないところで、どういう動きになるのか見ていく必要がある」と湯浅氏は問題点を指摘している。

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