「COMPUTEX TAIPEI 2018」で静かに始まるx86からArmへの置き換え:COMPUTEX TAIPEI 2018レポート(後編)(4/4 ページ)
「COMPUTEX TAIPEI 2018」の組み込み関連展示レポートの後編をお届け。あまり盛り上がっていないLPWAや、中国系SoCのSOM/SBCでの躍進などを紹介するとともに、前回と比べて着実に進んでいたx86からArmへの置き換えについても紹介する。
x86からArmへの置き換えが始まる、POS市場にも浸透中
ただこうしたシステムも現在はArmベースにどんどん置き換えが始まっているという話もある。というのはシステム構築後に20年とか経過すると、今さら高性能なx86を持ってきても部分的な置き換えは難しく、ところが設計資料も残ってないことも珍しくないので、「んじゃスクラッチから作り直そう」という話もしばしばあるそうで。そうなると、必ずしも新システムもx86でということにはならず、どうせAndroidとかLinuxベースで作るならArmで良いじゃない、という方向に進むケースが意外に多いそうだ。
実はこの話は別のところでも出てきた。前回の「COMPUTEX TAIPEI 2017」では、まだWindows XP/7ベースのPOSがかなり多くあったのだが、今回は筆者が確認した限りでは4〜5社がラインアップしている程度。ではWindows 10ベースに置き換わったのか?というと、確かにそうしたケースもあるのだが、むしろAndroidへの以降が加速している。
その理由はというと、POSを構築するときに必要なスキャナーやプリンタ/ドロワーのドライバ、POS用の各種ミドルウェアなどのAndroid対応が進んだそうで、もうWindowsベースでなくてもPOSが作れるということらしい。実際会場ではAtomベースの端末にWindows 10/Windows POSReady/Androidの3種類のOSをそれぞれインストールしたものを並べて、「どれでも提供できます」とアピールするベンダーが幾つか存在した。一度Androidベースに移行すると、今度はx86で無くてもいいよね? という話が出るのは必然で、このマーケットも急速にArmに置き換わっていきそうな気配を感じた。
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