GEが日本の金属3Dプリンタ事業に本腰、造形サイズ1.3m角の超大型機も2020年に:3Dプリンタニュース(2/2 ページ)
GEは2018年6月14日、日本国内における金属積層造形(3Dプリント、付加製造)事業「GEアディティブ」を本格始動すると発表した。同社の金属3Dプリンタの国内販売強化と併せ、金属3Dプリンタ(積層造形機)導入のコンサルティングサービスを提供する
金属3Dプリンタの使い方とは
GEは2010年に同社の航空部門であるGEアビエーションで積層造形チームを発足。以来、同社のエンジン開発および製造の一部において金属3Dプリンタを活用してきた。その傍らで、2012年には金属3Dプリンタで航空機エンジンを製造していたモリス・テクノロジー、2016年には金属3DプリンタメーカーのCONCEPTLASERとArcamを買収した。
GEのジェットエンジン「LEAP」の燃料ノズルは自社の金属3Dプリンタで量産している。従来製法では20部品構成だったものを1部品の一体型とし、部品の靭性は5倍以上増加し、コスト効率は30%向上、重量は25%削減をかなえた。自社で必要なだけ生産できるため、在庫数も従来の95%削減となった。
ターボプロペラエンジン「The GE Catalyst」は、自社の金属3Dプリンタにより、855点あった部品点数を12点にまで削減し、5%の重量を削減した。従来の製法で約1年かかっていた燃焼テストまでの開発期間を6カ月に削減し、燃焼効率は20%向上させた。
パン氏は、3D金属プリンタ導入効果について、設計部品点数の大幅削減が実現でき、部品製造にかかわる技術者の人数も少なくて済むことを挙げた。製造や検査設備の数も削減でき、検査工程も従来より簡略化できるとした。
製造業が抱きがちな金属3Dプリンタの導入の課題や疑問について、パン氏は以下のようにまとめた。
- 何から、どうやって始めるべきか分からない
- ビジネス・メリットはどこに、どれぐらいあるのか
- 採算性の説明が難しく、予算を取得しにくい
- 自由設計と聞くが、どんな形状のパーツが得意なのか
- アディティブ設計(Design for Additive)が難しい
- 試作だけなら、メリットが少なく興味が湧かない
- 素材がパウダーなので、扱いにくいのではないか
- 材料とパーツの認証や品質の検証プロセスはどうなのか
- 量産できると聞くが、工場をどうやって作るのか
「樹脂か金属に限らず、既存製法のモノを3Dプリンタで作ろうという考え方が普及の妨げになっている」とパン氏は説明する。また、付加価値が低く、従来製法で安定的に量産できるものには金属3Dプリンタは向かないとしている。
金属3Dプリンタが対象とするユーザーについて、パン氏は、「部品や企業の大小がというより、付加価値の高い製品づくりを目指す企業が対象となると考えている」と述べた。日本の普及においては、上記で挙げられた課題が顕著であり、企業の製品開発における意識の変革や啓蒙がより求められるとした。
パン氏は金属3Dプリンタの業界において、「現在普及するスマートフォン(スマホ)も、市場に登場した当初は使い方がよく分からないという人も多かった。今後、金属3Dプリンタ市場においても、電話からスマホに置き換わったような事象が起こると期待する」と述べた。
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