中国人通訳に通じない「しょっちゅう」「ハードルが高い」「反り」:元ソニーマンが教える「中国メカ設計事情」(3/3 ページ)
私が中国に駐在中、中国メーカーの日本語通訳に必ずといって良いほど質問することがありました。それは「『しょっちゅう』の意味を知っていますか?」というものです。
中国人との会話の留意点まとめ
ここまで、中国人との会話で気を付けていただきたいことを3つお伝えしました。
- 小学生と話すつもりで会話をする。
- 具体的に書きながら、具体的にモノを見ながら、会話をする。
- 電話だけで要件を伝えない。
最低この3つを守っていただければ、中国人との「確かに言ったハズなのに」という問題はなくなると思います。
通じない会話、通じる会話のおさらい
最後に、最も通じない口語調の会話例と、それを分かりやすい日本語に修正したものを紹介します。
「この前のさ、送ってもらったやつ、開梱したら何個かゆがんでましたよ。オマケにバリでザラザラしてるし。数も合ってますぅ〜? 足りないっすよ。早めに作り直して、再送してくれません?遅れたらこっちはもうお手上げですから、日程キープでなんとかお願いします」
上記を中国人に通じる会話に修正してみます。
「5月23日に送ってもらったブラケットAに関して、箱を開けたら、7個が変形していました。修正をお願いしたバリも修正されていません。送ってもらった部品の数が3個足りません。明日までに作り直して、5月29日に私にもう1回送ってください。もし発送が遅れたら、次の試作の日程に間に合わなくなり大問題です。日程は変更しないでお願いします」
中国に限らず、外国の方と日本語で仕事の会話をするときは、このようなことを心掛けるとお互いの理解がより深まると思います。
筆者プロフィール
オリジナル製品化/中国モノづくり支援
ロジカル・エンジニアリング 代表
小田淳(おだ あつし)
上智大学 機械工学科卒業。ソニーに29年間在籍し、モニターやプロジェクターの製品化設計を行う。最後は中国に駐在し、現地で部品と製品の製造を行う。「材料費が高くて売っても損する」「ユーザーに届いた製品が壊れていた」などのように、試作品はできたが販売できる製品ができないベンチャー企業が多くある。また、製品化はできたが、社内に設計・品質システムがなく、効率よく製品化できない企業もある。一方で、モノづくりの一流企業であっても、中国などの海外ではトラブルや不良品を多く発生させている現状がある。その原因は、中国人の国民性による仕事の仕方を理解せず、「あうんの呼吸」に頼った日本独特の仕事の仕方をそのまま中国に持ち込んでしまっているからである。日本の貿易輸出の85%を担う日本の製造業が世界のトップランナーであり続けるためには、これらのような現状を改善し世界で一目置かれる優れたエンジニアが必要であると考え、研修やコンサルティング、講演、執筆活動を行う。
◆ロジカル・エンジニアリング Webサイト ⇒ https://roji.global/
◆著書
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