ポメラが10周年、電子ペーパーを採用して折り畳みキーボードが復活、Kickstarterにも:メカ設計ニュース(2/3 ページ)
キングジムは2018年5月15日、新製品『デジタルメモ「ポメラ」DM30』を発表した。価格は4万3000円(税別)で、同年6月8日から販売開始する。2018年度の販売目標数量は1万台だ。2016年10月に「DM200」を発売して以来、約1年7カ月ぶりの新製品登場だ。
多いのは40〜50代――ユーザーニーズから今回の仕様に
ポメラは2008年にDM10を発売し、2018年で10周年を迎えた。シリーズ全体の累計販売台数は約35万台。2011年11月には折り畳み式ではないフラット型のDM100を出し、さらに2013年2月にはまた従来の折り畳み式の「DM25」をリリースした。
10年の間に出たポメラの新モデルは、フラットだったり、折り畳みだったり、はたまたガンダムコラボだったりしてきた。ただし、「用途はテキスト作成のみ」「インターネットは閲覧不可」といった機器の基本のコンセプトや仕様は登場当時からぶれていない。あくまで「文房具」とし、その範ちゅうを超えないコンセプトになっている。
ポメラは「1万人が“そこそこ欲しい”ではなくて、1人が“強く欲しい”と思う、独創的で役に立つ製品を作る」という、キングジムの「ニッチ戦略」の一環であるとし、「フルライン戦略との両輪で、一定の成果を得てきた」とキングジム 常務取締役 亀田登信氏は説明する。
「テキスト入力しかできない」という商品企画は当時の社内では賛否両論で、開発会議では却下寸前にまで追い込まれたという。しかし、「当時の社外取締役が、移動中の新幹線や飛行機の中で執筆活動するために、この商品はいくらでもいいからほしい」と強く推し、熱烈な層が一部にいることへの気付きとつながって商品化が決定。現在は、記者やライター、小説家など「文章を書くこと」を仕事にする人からも大きな支持を得ているという。
この10年間でユーザーニーズの変化も見られた。キングジムによる最新の調査結果では、1位に「メモ・備忘録」、2位に「私用での原稿作成・執筆」、3位に「仕事での議事録・レポート」、4位に「ネット投稿文書(ブログなど)」、5位に「仕事での原稿作成・執筆」となっていたが、最新の調査結果では1位に「私用での原稿作成・執筆」、2位に「仕事での原稿作成・執筆」、3位に「仕事での議事録」、4位に「私用でのメモ」、5位が「その他」だったという。「より長い文章を快適に作成することを求めるユーザーが多くなっている」(キングジム 商品開発部 東山慎司氏)という。
またポメラユーザーの年齢層は40〜50代が約7割、男性が約8割を占める。デジタルネイティブといわれる20代とそれ以下のユーザーは1割と少なめだ。キーボードの好みとしては「折り畳み式がよい」という意見が若干上回ったという。この調査を反映して「DM30」の仕様が決定したとのことだ。
なお以前、MONOistの「ポメラのメカ設計〜日中をつなぐ3次元モデル」で紹介した、中国メーカーとの設計協調体制は今も健在であるということだ。
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