コンテンツ配信ネットワークをIoTインフラに、特徴は低遅延:製造業IoT
ライムライト・ネットワークス(Limelight Networks)は2018年5月15日、東京都内で会見を開き、IoT(モノのインターネット)やエッジコンピューティング向けのサービスについて説明した。
ライムライト・ネットワークス(Limelight Networks)は2018年5月15日、東京都内で会見を開き、IoT(モノのインターネット)やエッジコンピューティング向けのサービスについて説明した。
同社は映像やゲームなどのコンテンツ配信をプライベートネットワーク経由で行うコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)の事業者だ。配信容量は32Tbps以上で、80以上の世界の主要都市をつなげ、900以上のネットワークに接続するなど、CDNの事業者としては世界最大規模を誇る。また、1秒未満というレイテンシ(遅延時間)の短いストリーミング配信技術を開発(2018年10〜12月期にリリース予定)など、充実したインフラだけでなく技術力も特徴となっている。
従来と同等のコストでパフォーマンスは10倍に
そんな同社が新たに取り組みを進めているのがIoT/エッジコンピューティング分野だ。同社 CEOのロバート A. レント(Robert A. Rent)氏は「さまざまな調査結果からもIoT市場が拡大し、投資が急増していることは確かだ。このIoT/エッジコンピューティングに当社のネットワークが適している」と強調する。
理由は4つ。1つ目は「ローカルでのプレゼンス」だ。大手パブリッククラウドベンダーよりも多くのデータセンターを各地域に展開しており、アップロードの規模と信頼性、リアルタイムアプリケーションでの低レイテンシで優位だとする。2つ目は「クローバルバックボーン+ピアリング」で、安全かつスケーラブルだという。3つ目の「分散型ストレージ」では、エンタープライズクラスのパフォーマンスとクラウドの拡張性があるとしている。4つ目は「高度な運用」で、柔軟性と迅速性を有しているという。
2018年1月には、GEの子会社であるAvitas Systemsと取り組んだ、ドローンによるパイプラインのモニタリングサービスの事例を発表している。ドローンで撮影した映像データを、エッジサーバを経由してプライベートクラウドに集積し、何らかの問題があれば警告とその状態をストリーミング映像として送信するものだ。IoTデバイスであるドローンとエッジサーバに組み込むアプリケーションロジックはAvitas Systemsが開発しているが、残りの部分はライムライト・ネットワークスが提供する付加価値になっている。「6カ月間かけてテストしたが、従来と同等のコストでパフォーマンスは10倍になった。産業分野の検査/監視だけでも年間400億米ドルの市場がある。この市場のコスト削減、性能アップ、安全性向上に貢献できる。特に、ミリ秒レベルの低遅延時間が求められる場合には、大手パブリッククラウドよりも当社の方が向くだろう。航空機、自動運転などの分野にも提案していきたい」(レント氏)という。
Avitas Systemsと取り組んだドローンによるモニタリングサービスの事例ライムライト・ネットワークスがIoT/エッジコンピューティングに最適な4つの理由,ライムライト・ネットワークスがIoT/エッジコンピューティングに最適な4つの理由(クリックで拡大) 出典:ライムライト・ネットワークス
日本法人のライムライト・ネットワークス・ジャパンの代表を務める田所隆幸氏は「国内でも2018年内に数社との間でPoC(概念実証)を実施できるようにしたい」と述べている。
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