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月探査賞金レースGoogle Lunar XPRIZEの意義とは、HAKUTOの8年間の軌跡を追う宇宙開発(2/4 ページ)

2018年3月末に「勝者無し」という形で幕を閉じた月面探査レース「Google Lunar XPRIZE(GLXP)」。果たしてGLXPに意義はあったのか。最終段階まで苦闘を続けた日本のチーム、HAKUTOの8年間の軌跡を通して大塚実氏が探る。

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日本チームHAKUTOの奮闘

 SpaceShipOneの成功には筆者も興奮したが、その反面、こんな歴史的なチャレンジの場に日本チームの姿が無いことを非常に残念にも思っていた。それだけに、GLXPで日本から手を上げた人達が現れたときには、驚くと同時に、すごくワクワクしたことをよく覚えている。2011年には早速取材し、MONOistでも記事にしている※)

※)関連記事:「協力しないかと言われたら『Why not?』ですよ」〜月面レースに挑む研究者、東北大・吉田教授(後編)

 その日本チームがHAKUTOである。この記事の後、HAKUTOはファイナリスト5チームに残り、優勝を十分狙えるほどの有力チームに成長したものの、その過程は決して順風満帆ではなかった。まずここで、これまでの経緯について一通りおさらいしておこう。

 GLXPに参加した当時、HAKUTOは現在のような日本単独チームではなく、「White Label Space」という日欧共同チームであった。担当は、日本側がローバー、欧州側がランダーを開発するというものだったが、2012年末に欧州チームが継続を断念。ランダーがなくては、月面へはたどり着けない。チームは存続の危機に立たされた。

White Label Space時代の2011年に披露したローバーのプロトタイプモデル
White Label Space時代の2011年に披露したローバーのプロトタイプモデル(クリックで拡大)

 継続か、それとも撤退か。日本チームが選んだのは、他チームのランダーに相乗りすることで、レースを続行するという道だった。これならば、ローバーだけを開発すれば良いので現実的である。ランダーを独自開発する手段もあったが、資金的にも時間的にも技術的にもハードルが高く、もしこの方法を選んでいたら途中で挫折していただろう。

 HAKUTOのローバー開発を主導したのは、東北大学の吉田研究室。同研究室には、災害対応ローバーや超小型衛星で豊富な開発経験があった。ローバーと宇宙。この2つの経験は、月面探査ローバーの開発では非常に有利だ。技術力はGLXP参加チームの中でもトップクラスと言え、2015年1月の中間賞受賞により、それを証明した。

中間賞を受賞したのはこの5チーム
中間賞を受賞したのはこの5チーム。HAKUTO(中央)はMobility部門で受賞し、賞金50万ドルを獲得した(クリックで拡大)

 当初、HAKUTOは米国のアストロボティック(Astrobotic Technology)への相乗りを計画しており、ローバーのフライトモデル(本番用の機体)の開発も進んでいたが、同チームがGLXPから撤退したことで、2016年12月、相乗り先をインドのチームインダス(TeamIndus)へと変更。ランダーと着陸地点が変わったことで、フライトモデルの大幅な改修も必要となった。

 HAKUTOが開発したローバー「SORATO」の重さはわずか4kg。相乗りの料金は重量制のため、機能を維持しつつ、ギリギリまで軽量化を図った結果だ。ボディーをCFRP(炭素繊維強化樹脂)製にするなど、さまざまな軽量化の工夫が盛り込まれている。

 打ち上げに向け、ローバーは2017年12月、インドへ出発。現地でブラッシュアップを続けながら、打ち上げを待ったが、2018年1月、チームインダスの資金不足により、期限内の打ち上げが困難になったことが判明。チームインダス側の発表によれば、必要な資金の6000万米ドルのうち、半分程度しか確保できていなかったという。

インドへ出発する日には、成田空港でイベントが開催された
インドへ出発する日には、成田空港でイベントが開催された(クリックで拡大)

 HAKUTOはXPRIZE財団に対し、GLXPの期間延長を申し込んだものの、残念ながら受け入れられず、同財団はGLXPの終了を決定。2018年3月末、GLXPの終了と同時に、HAKUTOは約8年間の活動を終えた。

 ただ、同財団は月面探査レース自体の継続には意欲を見せており、同年4月5日、新レースの構想を明らかにした。期限やルールなど詳細は今後数カ月かけて検討。基本的に賞金無しのレースで考えられているようだが、グーグルに代わる冠スポンサーを探すという。

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