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スマートファクトリー化で進む“モノづくり”の融合いまさら聞けない第4次産業革命(22)(2/3 ページ)

製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第22回となる今回は「スマートファクトリー化で進む“モノづくり”の融合」をテーマに、製造と設計の変化について説明します。

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スマートファクトリーは工場だけで行うものなのか

 さて、毎度のことですが今日も矢面さんは印出さんに相談しに来たようですよ。

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印出さん、こんにちは。この前はありがとうございました。IoTと品質向上の関わりについて社長にも理解してもらえましたよ。


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まあ、よかったわね。具体的な取り組みは進んでいるの?


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まずは、品質向上への取り組みの中で、データを活用することで自動化できるところがないか今洗い出しているところですね。社長も「IoTやAIも飛び道具やないんやなあ」と言ってて、自分たちの仕事の価値をやっと理解してもらえたって感じです。


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よかったわね。使える部分はたくさんあると思うけど、各工場での大きな課題から取り組んでいくとよいと思うわ。うまくいったときに得られる価値が大きくなるもの。


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なるほど。ぜひ、そうするように課題を洗い出しますね。


 さて、さまざまな課題の抽出や自動化領域の検討をするうえで、新たな疑問が出てきたようですよ。

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ところで、印出さん、いろんな自動化を検討していく中で、いろいろ行き詰まる点も出てきて、どうしたらいいかなと。


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どうせ、また何かあるんだと思ったわ。最近、顔見るだけである程度分かるようになってきたもの。それでどうしたの?


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品質向上だけではないんですけど、スマート工場化を進める中で、自動化領域を広げるじゃないですか。それって工場だけで実現できるもんなんですかね。


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どういうこと?


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明らかに機械に製造させるのが難しいところがあるじゃないですか。配線の変な取り回しだったりとか。そういうのって製造現場だけで解決するのがとても難しいんですよね。いや、できなくはないんですけど、機械作っても汎用性がなくて費用対効果が合わないと思うんです。


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ああ、なるほど。そういうことね。確かにそれは効率が悪いわね。単純に工場内の見える化だけであれば、工場内で完結するけれど、その先の効率化などを追求しようとすると、エンジニアリングチェーンを全体で捉えないと難しくなるわね。


 「スマートファクトリーは工場や製造部門が行うもの」という印象もあるかもしれませんが、現実的には工場だけで実現できることは限られます。いつかスマートファクトリー化の手法が確立された場合は、工場だけでできるようになるかもしれません。しかし、現状では、印出さんがいうように今行っている作業のデータを取って見えるようにすることはできるかもしれません。しかし、そこで得た知見をフィードバックして、より効率的な生産工程や自動化を目指した場合、すぐに行き詰まることになります。

 なぜなら、現状の製品の設計は、今の製造方法をベースに作られているからです。さらに現状のロボットやAI(人工知能)などの“機械”は現状では、不得手な領域が数多く存在しており、これらを活用した自動化やスマート化を進めるには、これらの機械の強みを生かした設計が必要になるのです。

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