迷宮入り殺人事件も解決したNECの6つの生体認証技術で新たな価値を編め:組み込み開発ニュース(1/3 ページ)
NECは同社の生体認証ブランド「Bio-IDiom(バイオイディオム)」に関する記者説明会を開催。生体認証事業関連の組織を増強し、いよいよグローバルでBio-IDiomを本格展開していく。同社が強みとする6つの生体認証技術やグローバルでの事例についても紹介した。
NECは2018年4月18日、同社の生体認証ブランド「Bio-IDiom(バイオイディオム)」に関する記者説明会を開催した。Bio-IDiomは2017年11月にNECが発表した生体認証の新ブランド。語源の一部である「idiom」には「慣用句のように、複数の単語を組み合わせて新たな意味を導く」という思いを、あえて大文字とする「ID」には「世界の人を生体認証の力でアイデンティファイ(Identify:「確認」や「意気投合」といった意味がある)したい」という思いを込めたという。
NECは2018年1月30日に、中期経営計画として2020年度(2021年3月期)を最終年度とする「2020中期経営計画」を発表。2016年度(2017年3月期)から2018年度(2019年3月期)までの3カ年計画で掲げた目標の未達が見込まれるための再策定となった。同社が成長における最大の原動力としているのがセーフティー事業で、その要ともいえるのがBio-IDiomだ(関連記事:既存事業が地盤沈下するNEC、再建のカギを握る「安全」と都市・クルマ・工場)。
2018年に入り、NECではBio-IDiomの事業を加速すべく体制強化を図った。同年1月には英国のNorthgate Public Services(NPS)を買収し、NPSのセーフティーソフトウェアの技術と、NECの生体認証技術とのシナジーを狙う。同年4月には「セーファーシティソリューション事業部」「セーファーシティ営業本部」「バイオメトリクス研究所」といった新組織を立ち上げて生体認証事業関連の組織を増強し、いよいよグローバルでBio-IDiomを本格展開していく。
Bio-IDiomでは、NECが保有するさまざまな生体認証技術と、高度な映像認識技術を組み合わせることで、新たな価値創出をもくろむ。これらの技術は1960年代からNECが取り組む、郵便宛名読み取り区分機の技術として活用されたOCR(光学文字認識、Optical Character Recognition)が原点である。
同社の保有する生体認証技術は大まかに「顔」「虹彩」「指紋・掌紋」「指静脈」「声」「耳音響」の6つに分類できる。
複数の認証技術(モーダル)を組み合わせること(マルチモーダル認証)で、単独の技術では得られない機能を実現したり、それぞれの技術の弱点を補完し合ったりといった効果が望める。NECとしては、生体認証技術のBio-IDiomを核にして、動画分析の他、ハイブリッドスーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」、最先端AI技術群「NEC the WISE」、ネットワークやアンテナの技術といった、NECが強みとしてきた技術とも連携して製品やサービスを展開していく方針だ。
「IoTデバイスの数は2020年には304億個に達する(総務省による「平成29年 情報通信白書」のデータ)といわれる。センサーの数は兆を超えるだろうと予測されている。急速に進むデジタル化の波の中、人とモノの接点は増加していく。その止められない波の中、デジタルトランスフォーメーションによって、生産性やビジネスにおけるゲームチェンジが起こっていく」とNEC 執行役員 田熊範孝氏は述べた。
「デジタルトランスフォーメーションを起こすには、いかにしてリアルな世界からサイバーの世界へデータを持っていき、リアルな世界へ戻すかが大事。サイバーな世界では人やモノに新たな価値を創造していきたい。リアルな世界からサイバーの世界の入り口としては生体認証を活用し、誰もが安心してデジタルを活用できる世界を作りたい」(田熊氏)。
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