産学官民連携の知・交流・人材育成拠点――高知県産学官民連携センター(高知県):地方発!次世代イノベーション×MONOist転職
「次世代の地域創生」をテーマに、自治体の取り組みや産学連携事例などを紹介する連載の第19回。高知県で行われている、産学官民連携に関する相談窓口や交流機会の創出、人材育成研修などの取り組み「高知県産学官民連携センター」を取り上げる。
イノベーションの概要
2015年4月、高知県は「産学官民が連携して行う産業振興や地域の課題解決に向けたさまざまな取り組みを推進する」目的で、「高知県産学官民連携センター(通称:ココプラ)」を、高知県立大学・高知工科大学 永国寺キャンパス内に開設した。ココプラは、高等教育機関とつながる「知の拠点」、産学官民がつながる「交流の拠点」、産業振興や地域振興につながる「人材育成の拠点」の3つを基本機能とし、県内5つの高等教育機関(高知県立大学、高知工科大学、高知大学、高知学園短期大学、高知工業高等専門学校)と高知県で構成される「高知県・大学等連携協議会」が運営している。
ココプラにはコーディネーターとして、高知県立大学、高知工科大学、高知大学、高知県の職員が常駐し、高知学園短期大学、高知高専も常設窓口を設置。大学などの知見や学生の活力を生かした取り組みにつなげる相談窓口として、産学官連携に取り組んでいる高知県産業振興センターや県内の公設試験研究機関などとも連携し、大学などへの技術相談や共同研究、講師の紹介など、さまざまな相談に応じてくれる。
そのほか、ビジネスに関する基礎力から応用・実践力までニーズに合わせて身につけられる「土佐まるごとビジネスアカデミー(土佐MBA)」、高等教育機関や公設試験研究機関などが研究内容などを紹介し連携や交流につなげる「シーズ・研究内容紹介」(隔週水曜日開催)、県内の経営者を講師に創業エピソードや強み、事業展開などをじかに聞ける「経営者トーク」(月1回開催)、大企業などの開放特許と県内中小企業の技術をマッチングさせる「知財マッチング」など、交流機会の創出や人材育成を推進している。
イノベーションの地域性〜高知県といえば……
高知県の水産物でまず思い浮かべるのはカツオだろう。カツオ・マグロは、高知県の水産業生産額で4割以上を占める。農産物では、なす、ししとう、しょうが、にらが全国1位の生産量を誇る。
また高知県は、坂本龍馬や吉田茂をはじめ多くの偉人を輩出している県でもある。「フクちゃん」の横山隆一氏をはじめ、「アンパンマン」のやなせたかし氏など高知出身の漫画家も多い。
面積は四国では最も広く全国18位だが、森林が約84%を占め、人口密度は全国44位と低い。そのためか「平成28年経済センサス−活動調査」を基に県がまとめたデータによると、製造業の事業所数は1173事業所、従業員数は2万4518人でいずれも全国46位である。しかし2009年に策定した「高知県産業振興計画」に基づいた取り組みも継続・発展しており、支援策を活用してトラフ型太陽熱集熱装置の開発や、産学官連携によるファインバブル発生器の開発など成果も挙げている。ココプラのような取り組みによる伸びしろは大いにあると言える。
ここに注目! 編集部の視点
ココプラには、知、交流、人材育成の拠点機能として、常に大学や県の担当者が集まっているため、連携は日常になっているし、直接大学の担当者などに相談できるのも魅力。例えば、いずれかの大学と共同研究をしたいと考えているならば、つないでもらうこともできる。
累計受講者数が延べ1万4000人を超えている土佐MBAは、経営大学院のカリキュラムを参考に、高知県企業のニーズに合わせてアレンジしたもので、平日昼間のほか、夜間や休日、またリアルタイム配信でも受講が可能。「本科」「実科」「専科」で構成されて、経営に関する知識をまるごと身につけることができるうえ、業種や専門の枠を超えた人的ネットワーク作りにも役立つ。無料で一部の講座を体験できる「おためしMBA」も用意されている。
ココプラが提供する各種の講座や、シーズ・研究紹介、経営者トーク、個別の相談などで生まれてきたアイデアを事業化する「ココプラビジネスチャレンジサポート」も提供。アイデアを事業にしたい人にも、起業自体が目的の人にも、手厚いサポートをしてくれる。
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