患者の血液や病変組織の一部を活用する新会社、産学連携で設立:医療機器ニュース
京都大学は、エスアールエルら企業7社と革新的な医療開発を実現するための産学連携の取り組みを開始する。新会社「KBBM」を設立し、患者らから集めたバイオリソース(ヒト試料)を研究に活用できる高度な管理体制を構築する。
京都大学は2018年3月20日、エスアールエル、椿本チエイン、シスメックス、アスクレップ、島津製作所、富士通、SCREENホールディングスと共同で、革新的な医療開発を実現するための産学連携の取り組みを開始すると発表した。それぞれの研究基盤と事業基盤を生かし、新たな産学連携モデルを構築する。
京都大学では、同大学医学部付属病院に設立したクリニカルバイオリソースセンターによるワンストップバイオリソース事業を実施する。また、エスアールエルら企業7社は新会社「KBBM」を設立し、同事業を推進していく。こうした産学連携によって、より有効かつ安全な医薬品・治療法を迅速に患者に届けることを目指す。
新会社は、同大学医薬系総合研究棟内に本社を置く。臨床研究および臨床試験などの受委託業務をはじめ、医薬品・医薬部外品や臨床検査薬化学分析研究に関する試験の受託業務、創薬ターゲット・バイオマーカー探索業務などの業務を行う。
具体的には、クリニカルバイオリソースセンターで収集した患者・健常者の血液や病変組織の一部などのバイオリソース(ヒト試料)を研究に活用できる高度な管理体制を構築する。集められたヒト試料は適切な管理・監督の下で提供されるため、より高度な倫理性も確保するという。
京都大学では、今回の取り組みにより、研究開発の早い段階からヒト生体試料にアクセスし、効果的な研究開発を実施する仕組みを構築できるとしている。
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