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アルツハイマー病変の検出を血液検査で、精度は髄液検査やPETイメージングに匹敵:医療機器ニュース
島津製作所は国立長寿医療研究センターとともに、血液検査による高精度のアルツハイマー病変検出法を確立した。アルツハイマー病の根本的な治療薬や予防薬の開発を加速すると期待される。
島津製作所は2018年2月1日、国立長寿医療研究センターとともに、血液検査による高精度のアルツハイマー病変(アミロイド蓄積)検出法を確立したと発表した。これは、現在用いられている脳脊髄液(CSF)やPETイメージングの検査に匹敵する高い精度を持つ。
アミロイドの脳内蓄積は、アルツハイマー病が発症する20年以上前に始まる。アミロイドが脳内に蓄積した人はアルツハイマー病の発症リスクが高いと考えられている。
同社と国立長寿医療研究センターは、2014年に質量分析システムを用いたアルツハイマー病血液バイオマーカーを発見。これについて、オーストラリアのThe Australian Imaging, Biomarker & Lifestyle Flagship Study of Ageing(AIBL)と連携し、京都大学、東京大学、東京都健康長寿医療センター、近畿大学と共同で、さらに研究開発を進めてきた。AIBLは世界有数のアルツハイマー病コホート研究の組織だ。
現在用いられているCSF検査は侵襲性があり、PET検査は高額なため、数千人規模の参加を必要とする臨床治験への適用には限界があった。それに対し、同研究が確立した手法ではわずか0.5ccの血液、かつ低コストで、アルツハイマー病変を早期に正確に検出することが可能になった。
これは、アルツハイマー病の根本的な治療薬や予防薬の開発を加速すると期待される。
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