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三菱自が「過ちに学ぶ研修室」を設置、不正を風化させない社員研修に:製造マネジメントニュース
三菱自動車は、愛知県岡崎市の技術センターに社員研修施設「過ちに学ぶ研修室」を開設した。
三菱自動車は2018年3月28日、愛知県岡崎市の技術センターに社員研修施設「過ちに学ぶ研修室」を開設したと発表した。2000年のリコール隠し以降に起きた安全や品質に関する三菱自動車の諸問題について、映像やパネル、部品の実物大モデルを基に学ぶことを目的としている。
同施設の開設は、2016年に発覚した燃費不正問題の再発防止策の一環となる。2000年と2004年のリコール隠し、2012年に明るみに出た軽自動車のエンジンオイル漏れリコール問題、2016年の燃費不正について取り上げている。入社時や昇進時の社員研修プログラムで過去の問題から教訓を学び、社員の記憶が風化するのを防ぐ。具体的には、問題発生当時の報道、顧客や社員の声をまとめたビデオを視聴した上で、リコール隠し以降の時系列で解説するパネルや不具合部品の実物大モデルを見学する。同施設の床面積は90m2。
三菱自動車の燃費測定試験での不正は2016年4月に明らかになった。カタログに掲載する燃費値の測定に必要な走行抵抗値の計測で、国土交通省が定める手法に準拠していなかったことが問題になった。
その再発防止策として、燃費届け出の適正化、再発防止対策の構築推進組織の設置、人事やコンプライアンス関連、三菱自動車エンジニアリングの在り方見直し、経営レベルでのフォローアップ体制強化など31項目の取り組みを設定。その後、2017年3月までに全項目を実施した。再発防止策の効果は今後も継続して検証していく。
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