ニュース
熱に強い母材やコーティングで耐摩耗性を高めた切削工具の新材種:FAニュース
京セラは、鋼加工用チップの新材種「CA025P」を発表した。母材や母材のコーティングに熱に強い素材を採用することで、耐欠損性、耐摩耗性を向上させた。チップ交換頻度が低減する他、歩留まりの改善にも貢献する。
京セラは2018年3月5日、鋼加工用の切削工具(チップ)の新材種「CA025P」を発表した。同年3月から順次量産に入り、同年4月2日より本格販売を開始する。74型番があり、価格は770〜1320円(税別)。販売目標は年間3億円だ。
CA025Pは、超硬合金の母材にCVD(化学蒸着)の多層コーティングを施し、熱に強い新開発の厚膜酸化アルミニウム(Al2O3)をCVDコーティング膜の1つに採用した。これにより、摩耗による変形を低減して長寿命化を図った。加えて、切削時の溶着を抑制する特殊表面構造を採用し、耐チッピング性が向上。チップ交換頻度が低減した他、歩留まりの改善に貢献する。
また、耐欠損性を向上するため、高温時に優れた特性を発揮する超硬合金母材を新たに採用した。既存のブレーカであるPG(断続加工の荒加工〜中切削向け)、GS(連続加工の荒加工〜中切削向け)、PQ(中切削〜仕上げ加工)、PP(仕上げ加工)と組み合わせれば、荒加工から仕上げ加工まで幅広く対応できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
工作機械も4.0へ、シェフラーとDMG森精機が描く「マシンツール4.0」
ドイツのインダストリー4.0が大きな注目を集める中、工作機械にもIoTを積極的に活用する動きが出てきている。軸受部品を展開するシェフラーと、工作機械メーカーのDMG森精機は工作機械のインダストリー4.0対応を目指す「マシンツール4.0」プロジェクトを推進している。アップルVSサムスン訴訟を終わらせた日本の工作機械の力
知財専門家がアップルとサムスン電子のスマートフォンに関する知財訴訟の内容を振り返り「争う根幹に何があったのか」を探る本連載。最終回となる今回は、最終的な訴訟取り下げの遠因となった「新興国への技術移転」の問題と「なぜ米国で訴訟取り下げを行わなかったのか」という点について解説します。ファナックがIoT基盤の壮大な実演、JIMTOFで80社250台の工作機械を見える化
ファナックは「JIMTOF2016」において、同社が展開する工場用IoT基盤「FIELD system」の壮大な実演を行った。同システムによりJIMTOFに出展した機械メーカー80社、250台の工作機械をつなぎ、稼働状況の見える化を実現した。工作機械の工具の寿命や破損を検知、金属加工企業の新たな挑戦
山本金属製作所は「スマート工場EXPO 2018」において、工作機械のホルダーにセンシング機能と通信機能を加えた「MULTIINTELLIGENCE」を出展。加工現象をリアルタイムに計測し、工具の寿命や破損を検知するソリューションを披露した。スマートファクトリーはエッジリッチが鮮明化、カギは「意味あるデータ」
2017年はスマートファクトリー化への取り組みが大きく加速し、実導入レベルでの動きが大きく広がった1年となった。現実的な運用と成果を考えた際にあらためて注目されたのが「エッジリッチ」「エッジヘビー」の重要性である。2018年はAIを含めたエッジ領域の強化がさらに進む見込みだ。スマートファクトリーがいよいよ現実解へ、期待される「見える化」の先
ドイツのインダストリー4.0がきっかけとなり関心が高まった、IoTを活用したスマートファクトリー化への動きだが、2017年は現実的成果が期待される1年となりそうだ。既に多くの実証成果が発表されているが、2017年は、実導入ベースでの成功事例が生まれることが期待される。