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安川電機が描くスマートファクトリーの3つの役割と現在地スマート工場最前線(4/4 ページ)

IoTやAIなどを活用した革新的工場であるスマートファクトリーへの関心が高まっている。大手生産財メーカーである安川電機は、埼玉県入間市に同社のスマート工場の理想像を具現化する新工場「ソリューションファクトリー」を建設する。同社が「ソリューションファクトリー」で目指すものは何か。また具体的にどういう取り組みを進めているのだろうか。

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崩れる設計と製造の壁

 これらの新たな製造技術などを盛り込む「ソリューションファクトリー」だが、実は役割は「生産の場」だけではない。

 熊谷氏は「ソリューションファクトリーは、これまで見てきたような『製造の場』であるだけでなく、実は3つの役割を担っている。2つ目の目的は、スマート工場に最適化したサーボや産業用ロボットなど『新たな製品開発の場』だ。そして最後がショールームとしての『営業の場』である」と強調する。

 「設計の場」としての役割は、スマート工場化を進めるうえで、産業用ロボットやサーボ製品において、各部品や機器に求められる新たな機能や性能などを精査し、新たな製品開発に反映させるという点である。「営業の場」は、ソリューションファクトリーをスマート工場のショールームとすることで、どういう機器やソリューションが必要なのかを説明し、それを提案する場とするということだ。

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安川電機 モーションコントロール事業部 事業企画部 部長の内山孝弘氏

 製品開発を担当する安川電機 モーションコントロール事業部 事業企画部 部長の内山孝弘氏は「入間事業所がソリューションファクトリーに取り組む中で、スマート工場で使いやすい製品にはどのような機能が必要かという点や、どういう点が使いにくいかなどが、現実的な形で落とし込めるようになった。また、新たな製品開発を製造現場と一緒に取り組むようになった点も大きな変化だ」と語る。

 さらに熊谷氏は「従来は安川電機の中でも設計と製造の壁のようなものがあったが、ソリューションファクトリーへの取り組みによって、その壁がなくなりつつある。一緒になって新たなモノづくりを進める機運が出てきている」と効果について述べている。

 今後は、まずは2018年春から夏に稼働するソリューションファクトリーの立ち上げに集中するとともに、ソリューションファクトリー内での自動化率向上などに取り組む。また、同工場で得られたノウハウを現在のサーボ製品だけでなく、産業用ロボットや他の機器群に広げていく方針である。

 熊谷氏は「ソリューションファクトリーのコンセプトは『進化する工場』であり、稼働時期からさらに生産性向上を実現していく。こうした価値を他の工場にも展開するとともに自社製品にも反映し、新たな価値を打ち出していきたい」と述べている。

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建設中の「ソリューションファクトリー」の様子(クリックで拡大)
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