バルト・北欧諸国でつながるヘルスデータ改革の波と持続可能な開発目標「SDGs」:海外医療技術トレンド(32)(3/3 ページ)
ICTや健康医療・介護福祉の先進国が集中するバルト・北欧諸国は、ヘルスデータ交換基盤の標準化・共通基盤化でも、世界をけん引している。日本でも取り組みが始まった、持続可能な開発目標(SDGs)でも先行している。
重要課題となるSDGs
2017年1月31日、この年の北欧閣僚理事会議長国を務めるノルウェー政府が調整役となり、NTAステークホルダー・ワークショップが開催された(関連情報)。その中で、NTAの活動成果を踏まえた今後の方向性について、以下のように総括している。
- NTAは、「NTA 2.0 - パーソナライズド・メディシン」という新たなフェーズに入る
- NTAは、議長国ノルウェーの2017年プロジェクト:よりよい健康のための北欧研究協力の一部である。
- ヘルスデータの北欧コモンズ
- NTA 2.0
- 研究倫理
- NTA 2.0は、北欧健康福祉プログラムの活動として、NordForskによって運営される
- このプロジェクトのために、新たな作業部会が任命される
2017年のノルウェーを引き継いで、2018年はスウェーデンが北欧協議会の議長国を務めている(関連情報)。近年、北欧協議会は、「持続可能な開発目標(SDGs)」を積極的に推進しており(関連情報、PDFファイル)、今後は、NTAに代表されるヘルスデータ利活用の取組をSDGsにどう反映させるかが注目される。
日本でも、2017年12月、政府のSDGs推進本部が「SDGsアクションプラン2018」を公表した(関連情報)。図5で示すように、SDGsの優先課題の1つに「健康・長寿の達成」が掲げられ、その柱として「データヘルス改革の推進」が位置付けられている。
図5 「SDGsアクションプラン2018」における優先課題:健康・長寿の達成(クリックで拡大) 出典:持続可能な開発目標(SDGs)推進本部「SDGsアクションプラン2018」(2017年12月26日)
SDGsは、新興国市場だけでなく成熟国市場の保健医療にも関わる重要課題であり、その一員として、医薬品/医療機器/デジタルヘルス産業の研究開発活動を訴求していくかが、社会課題先進国日本の課題となる。
筆者プロフィール
笹原英司(ささはら えいじ)(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)
宮崎県出身。千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク/コンプライアンス関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所等でビッグデータのセキュリティに関する啓発活動を行っている。
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