デジタル化で勝負を挑むシュナイダー、機械向けとプラント向けでIoT基盤を訴求:スマートファクトリー
シュナイダーエレクトリックはデジタル変革への取り組みと日本での現状について説明会を開催し、同社のIoT基盤「EcoStruxure」を機械向けとプラント向けで展開する方針を示した。
フランスのSchneider Electric(シュナイダーエレクトリック)は2018年2月13日、デジタル変革へのグローバルでの取り組みと国内での戦略について紹介した。
シュナイダーエレクトリックは日本においてはデータセンター向けのソリューションでのイメージが強いが、海外ではビル制御や工場、プラント制御などで多くの実績を持つエネルギーマネジメントとオートメーションの企業である。これまでは、日本におけるビル制御やプラント制御などの領域は参入障壁が高いこともあり、工場内装置の表示機器で実績のあるデジタルや、プラント向けのSCADAなどで大きな実績のあるInvensys(インベンシス)などM&Aでグループ化した企業において、個々に展開してきていた状況だった。
しかし、IoT(モノのインターネット)などの発展により、デジタル変革の動きが活性化してきた。「その中で新たな可能性が生まれてきた」と語るのが2018年1月1日に新たに日本統括代表に就任した白幡晶彦氏である。白幡氏はシュナイダーエレクトリックのアジア太平洋地域の事業において、スマートビルディングや機器制御などの領域に取り組んできた経歴を持つ。
その中で「日本は現在高齢化やシステムのオープン化、グローバル対応など数々の課題に悩まされている状況だ。これらの中で、IoTなどデジタル変革の動きを活用して解決策を模索している状況である。デジタル化によってソリューションを展開していく」と白幡氏は語る。
こうした中で、グローバルでシュナイダーエレクトリックが強化しているのがIoTプラットフォーム「EcoStruxure(エコストラクチャー)」である。シュナイダーエレクトリックではIoTを「ネットにつながる製品群(コネクテッドデバイス)」「エッジコントロール」「アプリ、アナリティクス、サービス」の3層で捉えている。これらの3層の基盤により、エネルギーマネジメントとオートメーションの効率化を推進するという。
白幡氏は「日本市場においても競合は多いと理解しているが、もともとの強みであるコネクテッドデバイスとエッジコントロールの領域に加え、第3層においてもいち早く取り組み、多くの実績を築いていることが強みだ。またグローバルで豊富な実績を持つことからグローバル展開の支援なども可能だ」と述べる。
さらにその中で、IT向けの他、機械向けとプラント向けを重点3分野として展開する。パートナーについても従来の機器を展開してきたパートナーに提案を進めている他、新たなパートナーの拡大にも取り組む方針を示す。ただ、白幡氏は「日本において無理に海外で強いビジネスを持ち込むということではない。既存領域で差別化ができるところで新たな価値を提供し、その上でソリューションを加えてスケールアップしていきたい」と取り組みの方向性について述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- まず「つなぐ」のか、それともスマート工場か、選択肢を提供するシュナイダー
シュナイダーエレクトリックグループは「SCF2017/計測展2017 TOKYO」において、機器の連携を“まず”実現する「Pro-face」ソリューションと、総合的なスマート化を推進する「シュナイダーエレクトリック」ソリューションの両面を訴求。どちらの面からも最適なソリューションを提案できる総合力を訴えた。 - 20年前から取り組む企業が語る「今までのIoT」と「これからのIoT」
ビル制御などでグローバルでは大きな実績を持つフランスのシュナイダーエレクトリックは約20年前から、現在のIoTに当たる取り組みを進めている。過去の取り組みに対し、現在のIoTは一体どのような点が異なり、どういう価値を新たに生むのだろうか。シュナイダーエレクトリックのエグゼクティブバイスプレジデント IoT&デジタルトランスフォーメーション担当のシェリル・ペルドカット氏に話を聞いた。 - スマートファクトリーはエッジリッチが鮮明化、カギは「意味あるデータ」
2017年はスマートファクトリー化への取り組みが大きく加速し、実導入レベルでの動きが大きく広がった1年となった。現実的な運用と成果を考えた際にあらためて注目されたのが「エッジリッチ」「エッジヘビー」の重要性である。2018年はAIを含めたエッジ領域の強化がさらに進む見込みだ。 - スマートファクトリーがいよいよ現実解へ、期待される「見える化」の先
ドイツのインダストリー4.0がきっかけとなり関心が高まった、IoTを活用したスマートファクトリー化への動きだが、2017年は現実的成果が期待される1年となりそうだ。既に多くの実証成果が発表されているが、2017年は、実導入ベースでの成功事例が生まれることが期待される。 - ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】
「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」という言葉をご存じだろうか? 「インダストリー4.0」は、ドイツ政府が産官学の総力を結集しモノづくりの高度化を目指す戦略的プロジェクトだ。インダストリー4.0とは何なのか。同プロジェクトに参画するドイツBeckhoff Automationグループに所属する筆者が解説する。 - インダストリー4.0の地味化はいい傾向?悪い傾向?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについてお伝えしています。第13回となる今回は、2017年4月に開催されたドイツの「ハノーバーメッセ 2017」で見えた傾向についてまとめます。