トレンドマイクロが工場用制御セキュリティ向けのハードウェアを展開へ:スマート工場EXPO
トレンドマイクロは「スマート工場EXPO 2018」において、工場の制御システムセキュリティ向けの専用ハードウェアを披露した。萩原電気、アラクサラネットワークスと共同で開発し、工場内脅威可視化ソリューションとして展開する。
トレンドマイクロは、「スマート工場EXPO 2018」(2018年1月17〜19日、東京ビッグサイト)において、工場の制御システムセキュリティ向けの専用ハードウェアを披露した。萩原電気、アラクサラネットワークスと共同で開発し、工場内脅威可視化ソリューション「In-Line Security Monitor」として展開する。
工場専用の端末で実現
トレンドマイクロでは以前から工場向けの制御システムセキュリティに向けた製品やサービスの展開を進めてきていた。しかし、トレンドマイクロ プロダクトマーケティング本部 ソリューションマーケティンググループ プロダクトマーケティングマネージャーの上田勇貴氏は「顧客によっては工場用の耐久力や設置性などを求める動きなどもあり、萩原電機、アラクサラネットワークスと共同で専用ハードウェアを含む共同開発を行った」と取り組みについて述べる。
新たに3社で開発した工場内脅威可視化ソリューション「In-Line Security Monitor」は、工場ネットワーク内でウイルスが検知された際に現場保全員の初動を促進し、ウイルス被害を最小限に抑えることを目的としたソリューションである。アラクサラネットワークスのホワイトリスト機能搭載ネットワークスイッチと、トレンドマイクロのネットワークセンシング技術、萩原電気のセキュリティ情報可視化サービスの3つを組み合わせて展開する。3社それぞれにハードウェアも用意する。
制御ネットワーク内の生産ラインごとに端末のウイルス感染状況や未登録端末の接続状況などのセキュリティ情報を可視化する。グラフィカルユーザーインタフェース(GUI)表示により、ネットワークやセキュリティの専門家でなくとも、セキュリティ情報を直感的に確認できることが特徴だ。
「In-Line Security Monitor」は2018年4月から萩原電気が販売する。価格は初期導入費用が90万円から、年間ライセンス費用が30万円からとなっている。さらに、2018年中にトレンドマイクロのSDN連携セキュリティ対策製品「Trend Micro Policy Manager」とアラクサラネットワークスのスイッチの連携により、自動で不審端末を切り離すサービスを提供する予定としている。
クラウド版では安川情報システムと提携
今回の「In-Line Security Monitor」は基本的には端末にひもづくものだが、クラウドによる不正通信検知サービスとしては、安川情報システムと協業。安川情報システムの工場向けセキュリティソリューション「MMsmartSecurity」の第1弾として、不正通信検知サービス「MMsmartSecurity FS-Eye」を展開する。上田氏は「基本的にはネットワークセンシング技術としてはどちらもほぼ同じ機能を提供している」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「つながる工場」は悪意もつなぐ、防ぐにはセキュリティ対策が必須
トレンドマイクロは「SFE2017」において、スマート工場に必須となるセキュリティ対策の価値について訴求。スマート工場実現時のシステムをモデルとして、サイバー攻撃のデモを行った。 - 工場のネットワークセキュリティ対策とは?
インダストリー4.0や工場向けIoTなどに注目が集まっていますが、そもそも工場内のネットワーク環境は、どのように構築すべきなのでしょうか。本連載では、産業用イーサネットの導入に当たり、その基礎から設備設計の留意点などを含めて解説していきます。第5回では、工場のネットワークセキュリティ対策について解説します。 - 制御システムセキュリティの現在とこれから
制御システム技術者が知っておくべき「セキュリティの基礎知識」を分かりやすく紹介する本連載。最終回となる今回は、今までに述べてきた制御システムセキュリティの基礎的な考え方をまとめた上で、これから制御システムセキュリティの分野がどうなっていくのかについての考えを紹介する。 - 制御システムを守るためにまず押さえるべき7つの対策点
制御システムにおけるセキュリティが注目を集める中、実際に攻撃を受けた場合どういうことが起こり、どう対応すべきか、という点を紹介する本連載。4回目となる今回は、セキュリティ事故を引き起こさないようにするには、どういった対策が事前に必要かを解説する。 - PLCが人質に取られて脅迫される時代へ、IoTがもたらす産業機器の危機
JPCERT コーディネーションセンターと経済産業省は「制御システムセキュリティカンファレンス」を開催。高度化が進む、制御システムへの攻撃の事例を紹介した。