衛星オペレーションセンターを2018年4月に稼働へ:宇宙開発
NECは、衛星の運用業務を行う「NEC衛星オペレーションセンター」を新設し、2018年4月に本格稼働を開始する。人工衛星を活用した宇宙利用サービス事業の拠点となる。
NECは2018年1月10日、衛星の運用業務を行う「NEC衛星オペレーションセンター」を新設し、同年4月に本格稼働を開始すると発表した。衛星管制業務やミッション計画業務など衛星機能の運用業務ができ、人工衛星を活用した宇宙利用サービス事業の拠点となる。
センターは、同年1月17日に打ち上げ予定の高性能小型レーダー衛星「ASNARO-2」より、地上システムパッケージ「GroundNEXTAR(グランドネクスター)」を利用し、衛星システムの運用を開始する。
センターでは、セキュリティ性の高いデータセンターに専用機材を設置し、必要最低限の操作機材のみをセンター内に設置。設置効率の良い衛星システムの運用を実現する。複数衛星の並行運用もでき、今後は運用衛星数を拡大し、宇宙利用サービス事業を拡大していく予定だ。
センターに導入したGroundNEXTARは、衛星システム運用業務を標準化し、低コスト、短納期を実現したパッケージソフトウェアで、衛星システム運用業務を効率化、省力化する。衛星運用に必要な基本機能、衛星運用の可視化や衛星からの撮影画像の配信機能を搭載しており、撮影画像を必要とするさまざまな分野に利用できる。今後、パッケージソフトの販売も行っていく。
同社は日本地球観測衛星サービスと協力し、同年9月より、ASNARO-2で撮影した画像の販売を予定している。また、さまざまなニーズに合わせたリモートセンシングデータを提供するなどして今後、宇宙利用サービス事業において3年間で50億円の売り上げを目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 人工衛星は輸出産業になれるか、NECが「ASNARO」に託した願い
日本の人工衛星開発を支え続けてきたNECが、宇宙事業の拡大に向けて開発したのが小型衛星「ASNARO(アスナロ)」だ。同社は、ASNAROを皮切りに、宇宙事業の国内官需依存からの脱却だけでなく、宇宙ソリューションビジネスの立ち上げをも目指している。 - 民間初の宇宙到達を目指すロケット「MOMO」、その挑戦の意義を探る
インターステラテクノロジズ(IST)は、観測ロケット「MOMO」の打ち上げを2017年7月29日に実施する。実業家の堀江貴文氏が創業に関わっているためホリエモンロケットと呼ばれることも多いISTのロケットだが、今回のMOMOの挑戦は、日本の宇宙開発にとって大きな一歩になるかもしれない。 - 「ひとみ」はなぜ失われたのか(前編) 衛星を崩壊に導いた3つのプロセス
信頼性の高さを誇ったはずのX線天文衛星「ひとみ」はなぜ、打ち上げ1カ月あまりで崩壊に至ったのか。まずはその過程を確認、検証する。 - 日本初の惑星探査を目指す「あかつき」、5年越しの再チャレンジ
日本初の惑星探査を目指す探査機「あかつき」が、金星周回軌道へ「2度目の投入」を試みる。5年前に一度失敗しており、今回がラストチャンスになる。 - 東アジア最大の天体望遠鏡を実現する3つの新技術
京都大学 宇宙総合学研究ユニットの特任教授でありユビテック顧問も務める荻野司氏が、東アジア最大となる口径3.8mの光学赤外線望遠鏡の開発プロジェクトについて語った。同望遠鏡の開発には、日本発のさまざまな技術が利用されているという。