ワーク内部のCT画像や寸法、体積を高精度で計測できるX線CTシステム:FAニュース
島津製作所は、検査対象物内部のCT画像を得られる計測用X線CTシステム「XDimensus 300」を発売した。CT画像から座標値を導き出すことで、対象物の内部寸法や外部寸法、体積を国内最高レベルの精度で計測できる。
島津製作所は2017年12月13日、検査対象物内部の3次元透視画像(CT画像)を得られる計測用X線CTシステム「XDimensus(エックスディメンサス)300」を発売した。価格はソフトウェア込みで1億2000万円から(税別)。発売から1年間で、国内外10台の販売を目指す。
XDimensus 300は、検査対象物(ワーク)にX線を透過させることで内部のCT画像を取得し、同時にCT画像から座標値を導き出して内部寸法や外部寸法、体積を計測できる。同社のマイクロフォーカスX線CTシステム「inspeXio(インスペクシオ) SMX-225CT FPD HR」と同等の高解像度で観察でき、最大許容指示誤差±3.8〜9.8µm(測定寸法による)の計測精度を達成。この保証計測精度は、ドイツ技術者協会が定める「VDI/VDE 2630 Part1.3」に基づいて計算した値で、計測用X線CTシステムとしては国内最高レベルとなる。
炭素繊維強化プラスチックのような樹脂から金属まで、幅広い材質のワークを高コントラストに観察できるため、自動車や電子部品産業における図面の検証、樹脂成形品やアルミ加工品の検査などにおいて、作業を効率化し品質精度の向上に貢献する。
XDimensus 300は、直径300mm×高さ300mm、最大質量10kgまでのワークがセット可能だ。装置内温度を20℃に保つ機能やステータス異常を検知して通知する機能も標準搭載しており、複雑な条件設定をしなくてもX線撮影を開始できる。
自動車やスマートフォン部品の市場拡大、設計ツールの多様化、工作機械の高精度化などに伴い、製品の構造や形状の複雑化が進み、設計図面や完成品の検証時間が増加傾向にある。また近年、複雑な構造の造形物を出力できる3Dプリンタも普及し、ワークの体積データや内部の寸法、CT画像を一度に取得できる計測用X線CTシステムに注目が集まっている。
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