日産の3列シートSUVは伝統工芸、インフィニティは中型セダンにも「VCターボ」:デトロイトモーターショー2018
日産自動車は、「北米国際自動車ショー2018」において、日産ブランドの3列シートSUVのコンセプトカー「Xmotion」と、インフィニティブランドの中型セダンのコンセプトカー「Qインスピレーションコンセプト」を披露した。
日産自動車は2018年1月15日(現地時間)、「北米国際自動車ショー2018」(プレスデー:同年1月14〜16日、一般公開日:1月20〜28日、米国ミシガン州デトロイト)において、日産ブランドの3列シートSUVのコンセプトカー「Xmotion(クロスモーション)」と、インフィニティブランドの中型セダンのコンセプトカー「Qインスピレーションコンセプト」を披露した。
Xmotionは、伝統的な日本の熟練の技と最新のテクノロジーといった異なる価値、時代、次元をつなぐようデザインされた3列シートのSUVだ。2020年以降の日産ブランドデザインの方向性の1つを示唆している。相対する考え方や性質をそれぞれ明確に表現しつつ、うまく共存させることで、「静かでありながらダイナミック、穏やかでありながらエモーショナル、洗練されていながらタフなクルマ」(日産自動車)になっているという。
外観デザインでは、Vモーショングリルやブーメラン型ヘッドランプといった日産独自のデザインシグネチャを採用している。Vモーショングリルは、グリルの幅と奥行きを確保することで、これまで以上の力強さを表現。日本建築からヒントを得たデザインで、深みのあるカーボンカラーと高い光沢のフィニッシュによって、より印象を深めている。また、ブーメラン型ヘッドランプは、鍛造された鋼の剣を思わせるシャープなラインで構成され、ハイビーム、ロービーム、ターンシグナル、ポジショニングランプなど、全ての機能を1つのユニットに統合した。リアコンビランプも、日本の伝統的な木工である「組子」のディテールやパズルからインスパイアされており、ホログラム技術による視覚の錯覚を利用して見せる手法を採用している。
内装デザインは、外観と同様に、伝統的な日本の要素と、フューチャリスティックなライフスタイルテクノロジーの要素を共存させることを出発点とした。日本の伝統的な工法や職人の技、素材などが、現代の美意識による新たな解釈を経て、フレッシュなデザインとして昇華している。
長いホイールベースと4つのコーナーへのタイヤ配置により、若くアクティブなユーザーのさまざまなライフスタイルに対応できる、「4+2」のレイアウトを実現した。3列に並んだ独立性の高い座席は、2組のカップルと子供やペットなどにも最適な空間を提供するように設計されているという。
さらに補助席を確保するため、収納式の「ルーフトップボックス」を搭載した。ルーフトップボックスは、さまざまなバッグやレクリエーションツールを収納するのに十分なフレキシビリティと走行時の空力性能を両立している。
中型セダンに可変圧縮比エンジン「VCターボ」を搭載
一方、インフィニティブランドのQインスピレーションコンセプトは、可変圧縮比エンジン「VCターボ」と自動運転技術の採用が特徴だ。
VCターボは、ピストンの上死点の位置をシームレスに変化させることで圧縮比を自在に変え、最適なパワーと効率を提供し、ターボチャージャー付きガソリンエンジンのパワーと、ディーゼルやハイブリッドエンジンの特徴である高い効率性を両立させられる。2017年11月に発表された、インフィニティブランドのSUV「QX50」で初採用された(関連記事:日産の「世界初」可変圧縮比エンジンは新型「QX50」に、旧モデルから燃費3割改善)。中型セダンのQインスピレーションコンセプトは、今後のVCターボの採用拡大を示唆している。
また、自動運転技術「プロパイロット」により、渋滞走行や巡航走行といったドライバーがストレスを感じる環境におけるドライバーの運転を支援する。
外観デザインは、ダイナミックで自信にあふれる明確かつ簡潔なラインを特徴とし、きたるべき先進パワートレインの時代のためのインフィニティの新しいデザインランゲージを表現した。クラシックなセダンのフォームではなく、クーペライクな外観と細長いシルエットにより、このセグメントにおけるデザインビジョンを体現したとしている。
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