2つのYAMAHAが工場現場に持ち込む“ドライブレコーダー”、AGVによる見守りも:2017国際ロボット展
ヤマハ発動機は、「2017 国際ロボット展(iREX2017)」において、ヤマハと共同開発した産業用ロボットの遠隔管理システムパッケージを披露した。2018年度内の発売を予定している。
ヤマハ発動機は、「2017 国際ロボット展(iREX2017)」(2017年11月29日〜12月2日、東京ビッグサイト)において、ヤマハと共同開発した産業用ロボットの遠隔管理システムパッケージを披露した。2018年度内の発売を予定している。
同パッケージは、自動化された生産ラインなどを持つ工場向けに、ネットワークを通じて遠隔で稼働中の産業用ロボットを監視し、必要に応じて保守を行うための一括管理システムとなる。ヤマハがネットワーク機器を展開する中で培ってきたVPN(Virtual Private Network)接続技術を用いて高度なセキュリティを保持しながら、安定したエンドツーエンド接続を確立できることが特徴で、生産ラインの遠隔画像監視やセンサーモニタリング、トレーサビリティー、リモートメンテナンスなどが可能。生産ラインの保守、運用の精度向上や工数を大きく低減できるとしている。
また、顧客の求めに応じて、ヤマハの技術を基にクラウドサービスも提供する。「シンプルで使いやすいVPNにより、遠隔監視を簡単に行えることが最大の特徴になる。また、工場のPLCやロボットコントローラー側で検知したエラービットをキーにするなどして、その前後の状況を適宜記録する機能も提供する。工場現場に“ドライブレコーダー”を持ち込むイメージだ」(ヤマハの説明員)という。
ヤマハのVPNとともに同パッケージの中核になっているのが、ヤマハ発動機のFA統合コントローラー「YHXシリーズ」だ。PLCopenが推進するIEC 61131-3に対応するなど、IoT(モノのインターネット)を意識したオープンな思想に基づいて開発されている。「こういった工場の遠隔監視のソリューションを、ITベンダーではなく、ロボットメーカーであるヤマハ発動機が手掛けることが重要だと考えている。工場の生産現場、生産管理に直接提案できるからだ」(ヤマハ発動機の説明員)。
展示ブースでは、ヤマハ発動機のロボットを用いたデモラインをモニターするカメラや、AGV(無人搬送車)に搭載したカメラの映像とともに、これらを制御するYHXシリーズのラダープログラム表示も併せて披露した。なお、このAGVは工場の遠隔監視向けに開発中のもので、制御にはYHXシリーズを用いている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 第4次産業革命の真の幕開けとなる2017年、カギを握るIoTプラットフォーム
2016年は製造業におけるIoT活用が具体的なものとして進展した1年となったが、2017年もその流れはとどまることはない。実導入や実活用に向けた本格的な動きが広がる中で2016年に注目を集めたのが、IoTを活用する基盤「IoTプラットフォーム」である。さまざまな解釈、さまざまなレイヤーのIoTプラットフォームが乱立する中、2017年はIoT基盤の整理が進む1年となる。 - 第4次産業革命を支えるIoTプラットフォームって結局何なの?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについてお伝えしています。第10回となる今回は、2016年から雨後のタケノコのように乱立する「IoTプラットフォーム」について説明したいと思います。 - ヤマハ発動機が工場用IoTに本格参入へ、2つのヤマハが実現するロボットの遠隔管理
ヤマハ発動機とヤマハは、産業用ロボットの遠隔管理システムパッケージを共同開発し、2018年度内の販売を目指す。これによりヤマハ発動機はFA領域におけるIoTビジネスに本格参入する。 - 生産ラインのロボットを一括コントロール、競合他社製品も制御可能
ヤマハ発動機は自動化生産ラインを低コスト、短期間で構築可能とし、インダストリー4.0などのIoT活用への対応力を高めた統合制御型ロボットシステムを開発。2016年12月1日から販売を開始する。 - 2つの「YAMAHA」がデザイン交流する理由――両デザイン部門トップに聞く
楽器のヤマハが乗り物、乗り物のヤマハ発動機が楽器という形で、それぞれのデザイン部門がアイテムを交換してデザインする「project AH A MAY(プロジェクト アーメイ)」が話題になっている。両社はなぜこのような形でデザイン交流を始めたのだろうか。両デザイン部門のトップに話を聞いた。 - ヤマハ発動機の“乗る楽器”とヤマハの“愛着の乗り物”、息づくYAMAHAのDNA
楽器のヤマハが乗り物、乗り物のヤマハ発動機が楽器という形で、それぞれのデザイン部門がアイテムを交換してデザインする「project AH A MAY(プロジェクト アーメイ)」。4つのデザインコンセプトモデルには、図らずも同じトーンが漂っており、両社にYAMAHAのDNAが息づいていることを感じさせた。