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三井化学子会社がアークを買収、モビリティ分野の事業拡大目指して製造マネジメントニュース

三井化学は同社子会社のエムシーインベストメント01が、試作や設計支援サービスなど提供するアークを株式公開買い付けで買収すると発表。アークの設計試作や設計支援サービスで培った技術や経験を生かし、収益の中核となるモビリティ分野の事業拡大を狙う。

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 三井化学は2017年11月29日、同社子会社のエムシ―インベストメント01が、試作や設計支援サービスなど提供するアークを買収すると発表した。買収額は301億円を見込む。

 三井化学によれば、今回の買収は「両社における会社基盤のさらなる拡大と、両社技術の相互活用によるグローバル市場での持続的な成長を共に実現するもの」としている。三井化学はアークの強みを生かした当社グループ製品・サービスの事業領域拡大と、モビリティ分野におけるソリューション提案・提供力の強化と、事業化を目指すという。「アークからの賛同を得ており、上場廃止を意図するものではない。今回の公開買付けは、今後のさらなる成長および長期的な発展と企業価値および株式価値の一層の向上に資する」(三井化学)としている。

 世界的に広がる環境規制の強化やICTの進化を背景とした、自動車市場のニーズの多様化と高度化に対応するため、素材メーカーが市場を先回りしてのソリューション提案が求められている現状だという。

 化学企業大手である三井化学グループでは近年、多様な機能性樹脂の開発や製造、販売を手掛け、オープンイノベーションや他企業との提携などを通じた設計・解析・評価・試作といったソリューション提供力の強化にも取り組んでいる。同グループでは、アークの設計試作や設計支援サービスで培った技術や経験を生かし、収益の中核となるモビリティ分野の事業拡大を狙うという。アークは、三井グループの持つ素材の知見を生かした設計、試作や解析による、より高い付加価値を有する総合的な開発支援サービスの強化を図る。

 アークは1948年に大阪市阿倍野区で創業した荒木製作所が起源で、当時は木製品の製造を主としていた。その後は、自動車メーカーなどの部品製作や試作などを中心に長年手掛けてきた。1989年には7社を吸収合併して社名をアークと改め、事業拡大などで業績も伸ばしてきた。2000年頃には、当時は好調であったアミューズメント業界に参入したことで、3Dモデリングから設計・プロトタイプの製作を請け負うサービスも開始。

 しかしその後、M&Aの資金のために調達した有利子負債が増加したところに、リーマンショックを起因とする経済不況が重なったことで業績不振に陥り、2011年4月に企業再生支援機構から支援決定の通知を受けている。以降は、グループのバリューチェーンの総力を挙げた事業展開を図る「事業本部制」を導入し、経営改革に取り組む。円高による自動車メーカーの開発費抑制、自動車メーカーの不正問題といった逆風はあるものの、現在「さらなる成長を実現するための事業基盤の構築はおおむね完了した」(アーク)としている。現在はオンライン受注サービスも提供する。

 エムシーインベストメント01はアークの親会社で筆頭株主であるオリックスの子会社であるOPI・11と、金融機関2社とそれぞれ公開買付応募契約を締結。OPIの保有する一部の普通株式(2億7055万5839株のうち2億3021万3339株)と、三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行が保有する優先株式(1138万8928株)を取得する。買い付け価格は、普通株式1株につき金100円、優先株式1株につき金300円で、買い付け期間は2017年11月30日から2018年1月17日まで(30営業日)としている。


公開買い付け前と後(予定):出典:三井化学

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