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IoTに振り切ったアドバンテックの勝算、IPCのカバー範囲を強みに製造業×IoT キーマンインタビュー(2/2 ページ)

IoTによる産業革新の動きが広がりを見せる中、IoT企業として変革を進めているのが台湾アドバンテックである。なぜIoTに振り切るのか。台湾アドバンテックの組み込みIoT担当社長であるミラー・チャン氏に話を聞いた。

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「WISE-PaaS」で中小製造業のハブを目指す

MONOist 製品のカバー範囲やセールスチャネル以外に優位性があると見ているところはありますか。

チャン氏 やはり「WISE-PaaS」が差別化のポイントになると考えている。「WISE-PaaS」は、IoT向けハードウェアが収集したデータを管理する機能や、ハードウェアの状態を監視する機能などを、クラウドサービスから利用できるようにするPaaS(Platform as a Service)である。

 IoT基盤を展開している企業は既に多くの企業が存在しているが、大企業であれば自社で独自の基盤を構築することが可能である。または、既存のIoT基盤を組み合わせることで自社に最適なシステムを構築できるかもしれない。

 しかし、中堅・中小企業などでは自社で全てのIoT基盤を構築することは難しい。ただ、こうした企業でもIoTに対応していく必要がある。そこを「WISE-PaaS」でサポートしていく。基本的にはアドバンテックでは、エッジからセンサーデータを回収しデータとして統合するところまでを担う。最終的な分析や解析などは他のクラウドベンダーなどに任せることを想定している。さまざまなクラウドやIoT基盤との連携はAPI(Application Programming Interface)を用意する。「WISE-PaaS」を通じて、さまざまなデータビジネスを展開できるようにする。

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アドバンテックが「WISE-PaaS」で実現する「Edge Intelligence Server」(クリックで拡大)出典:アドバンテック

アドバンテックの弱み

MONOist IoTへの対応を進める中でビジネスモデルを大きく変革しようとしていますが、現状で課題だと感じている点にはどのようなことがありますか。

チャン氏 まず言っておきたいのが、課題や弱みについては、対競合を考えてのものではないという点だ。主に社内の変革が現状での課題だといえる。ハードウェア中心のビジネスモデルからソリューションレディプラットフォームを中心としたビジネスモデルへとシフトする。そのために、どのように社内の体制を整えるか。組織を統合し、最適なソリューションを提供できる体制を作るのかという点を今重点ミッションとして取り組んでいるところだ。

 パートナーエコシステムについても同様のことがいえる。どれだけ充実したエコシステムをそれぞれの地域や市場で作るのかというのが、今後のIoT活用の拡大を進める大きなポイントになる。そのためにはさらに多くの企業とオープンにパートナーシップを構築していく必要がある。

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アドバンテックが構築する各業界でのパートナーシップ(クリックで拡大)出典:アドバンテック

重点領域はFA、流通、ヘルスケア

MONOist 「WISE-PaaS」の展開において、特に重視する市場などはありますか。

チャン氏 アドバンテックがもともと強かったFA(ファクトリーオートメーション)領域への期待は大きい。スマートファクトリーやインダストリー4.0などの盛り上がりもあり、今最もホットな市場だと考えている。またリテール市場なども同様だ。さらに今後が期待できる領域としてはデジタルヘルスケアなどの市場もある。こうした領域で、IoT基盤の新たな価値を付加しビジネスモデルを転換できることを訴求したい。

 新たなビジネス領域の進出を目指すとしているが、現状では8割以上が既存顧客を中心とした、取引となっている。ただ、「WISE-PaaS」の展開により新たに通信業界との取引も生まれるなど、新規顧客層の獲得が進みつつある。今後はできる限り早期に新たな顧客層を広げられるようにしたい。

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