IoT基盤に関連するソフトウェアやサービス群を体系化、導入から効果を迅速化:製造ITニュース
日立製作所は、IoTプラットフォーム「Lumada 2.0/Jサービススタック」を国内向けに提供開始した。より迅速で容易なIoTシステムの立ち上げや、仮説検証環境から本番環境へのスムーズな移行が可能になる。
日立製作所は2017年10月25日、IoT(モノのインターネット)プラットフォーム「Lumada 2.0/Jサービススタック」を国内向けに提供を開始した。
Lumada 2.0/Jサービススタックは、IoTプラットフォーム「Lumada」のアーキテクチャを基に国内外で開発したソフトウェア群と、それらを組み合わせたデータ利活用システムの開発やデータ運用を支援するサービスおよび同社のノウハウを活用したSaaSビジネス基盤などを体系化したものだ。
「OT(制御、運用技術)データ収集基盤」やイベント駆動型フレームワーク「Hitachi Application Framework/Event Driven Computing(HAF/EDC)」、データ統合分析基盤「Pentahoソフトウェア」などを含めた国内向けのLumada 2.0/Jソフトウェアと、これらを用いたデータ利活用システムの開発・導入・運用を支援するデータ・レバレッジ・サービス、SaaSビジネス基盤などから構成される。
同サービスのデータ・レバレッジ・サービスでは、これまで長時間を要していた顧客のデータ収集や加工処理などの工程をパターン化。これにより効率的なシステム開発が可能となり、迅速なIoTシステムの立ち上げが可能になった。また、コンポーザブルなサービススタックの提供により、既存システムへの追加も容易に行える。コーディングなしでアプリケーション開発やカスタマイズができるNode-REDベースのPoC向け開発環境では、大幅な開発期間の短縮が期待できる。
HAF/EDCは大量データを高速に処理し、リソースが空いているサーバで自動負荷分散処理できるため、IoT接続機器からの大量データを短時間で処理する。データ規模拡大時には、サーバを追加するだけでクラスタ構成を自動的に拡張可能で、サービスを止めずにシステム拡張し、仮説検証環境から本番環境へスムーズに移行できる。
さらに、同社のノウハウを活用したSaaSビジネス基盤により、サービスビジネスに必要なユーザー認証や課金管理、アプリ監視といった機能を提供し、新サービスの迅速な創出や運用を支援する。
同社では、各国や地域の市場ニーズに合わせたLumadaを順次展開している。日本ではデータの収集や可視化などからIoT活用をスモールスタートし、効果を見ながらシステムの機能や規模を拡張していくことが求められている。今回の国内向けサービスはそのニーズを受けたものだ。
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