特集
人材不足にどう立ち向かうか、製造業に求められる4つの変化の方向性:製造業IoT(2/2 ページ)
日本電機工業会が開催した「製造業2030シンポジウム」で、経済産業省 製造産業局 ものづくり政策審議室 課長補佐の安藤尚貴氏が「Connected Industries推進に向けた我が国製造業の課題と今後の取り組み」について講演した。
Connected Industriesの目指すもの
続いて「Connected Industries」についての基本的な考え方を解説した。「Connected Industries」のコンセプトは「さまざまなつながりにより新たな付加価値が創出される産業社会」であり、デジタル化が進展する中、日本の強みである高い「技術力」や高度な「現場力」を生かしたソリューション志向の新たな産業社会の構築を目指すものだ。さらに「現場を熟知する知見に裏付けられた臨機応変の課題解決力、継続的なカイゼン活動などが生かせる人間本位の産業社会を創り上げる、ことなどを目指している」と安藤氏は紹介する。
また以下の3つの考え方を柱としている。
- 人と機械・システムが対立するのではなく、協調する新しいデジタル社会の実現
- 協力と協働を通じた課題解決
- 人間中心の考えを貫き、デジタル技術の進展に即した人材育成の積極推進
Connected Industriesの実現に向けて経済産業省 製造産業局では、技術力や現場力を生かしたスマートものづくり実現に向け、国際標準などの基盤整備や、受発注・設計・生産および産業保安などのデータ共有の優先事例創出を支援する。
また「産官学による体制を構築し、ユースケースの創出、規制・制度改革、産業セキュリティ、国際標準化への貢献、中小企業への導入支援、人材育成、国際協力、データ利活用、技術開発による協調領域の最大化などの政策的課題を掲げて、その対応策を実施している」と安藤氏は述べている。
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