IoTが変革する製造業の2030年、JEMAが「製造業2030」最新版を提言:製造業IoT(1/2 ページ)
JEMAはIoTによる製造業の変革に対する提言書「製造業2030」の最新版を公開した。新たに「FBMアーキテクチャ」「制御盤2030」「製造業のサービス化」の3つについて提言を行った。
日本電機工業会(JEMA)は2017年5月15日、IoTによる製造業の変革に関する提言書「製造業2030」の2016年度版を公開した。
IoTで変わる製造業の姿を描く「製造業2030」
IoTが生み出す変化は第4次産業革命ともいわれ、製造業のビジネスモデルを大きく変革しようとしている。その中でJEMAも2015年8月にスマートマニュファクチャリング特別委員会を発足。電機業界における課題を抽出し、製造業革新に向けての提言を行う方針を決めた。これらの話し合いの中で「解決すべき課題」と「解決のための技術」「あるべき姿」を定め、それらのギャップを埋めていくためにどういう取り組みが必要かを、外部の有識者を含めて話し合いを進めた。こうした中で2016年5月に提言書「製造業2030」をまとめている※)。今回新たに発表したのはこの2015年版「製造業2030」の議論を深め、さらに具体的な形にまとめたものである。
※)関連記事:2030年の製造業にIoTがもたらす将来像、JEMAが提言する「FBM」
2015年版「製造業2030」では、「顧客価値の最適化」「製品設計の効率化」「製造設備構築の効率化」「生産運用の最適化」「プロダクトライフサイクルマネジメントの最適化」の5つの技術的トレンドに加え、製造業のビジネスモデルとして「Flexible Business and Manufacturing(FBM)」を提言した。
「FBM」は、生産を含む製造業のビジネス機能群がリアルタイムにかつフレキシブルに働き、ビジネスモデルや機能の組み合わせを変化させるという製造業モデルである。基本的なバリューチェーンを構成する要素として、サプライヤー、ユーザーなどの主体者や、販売、生産、エンジニアリング、企画、商品開発、品質保証、保守などの製造業のライフサイクルを構成する工程などを規定。これらをFBMプラットフォームとして、バリューチェーンにおいて組み合わせることで表現を行っている。
FBMにサービス、バリューチェーン要素を加えた「FBMモデル」
2016年度版ではこの「FBM」をさらに進化させ、「FBMアーキテクチャ」「制御盤2030」「製造業のサービス化」の3つのWG(ワーキンググループ)で話し合いを進めた。「FBMアーキテクチャ」では「FBMとは何か」を定義し、FBMモデルを提示した。
FBMモデルでは、ビジネスを表す「基盤」は2015年度で定義したものと変わらないが、サービスに関連する要素は、「サービス要素」の他に「サービス付帯要素」「サービス結合要素」を定義した。また、バリューチェーンに関連する要素としては「バリューチェーン要素」の他に「バリュー要求要素」「バリュー提供要素」を定義する。FBMではこれらの要素を組み合わせることにより対象ビジネスを表現する。
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