米国販売が好調なスバル、「健全な成長」優先で販売計画を下方修正:製造マネジメントニュース
SUBARU(スバル)は、2018年3月期(2017年度)の第2四半期(4〜9月期)決算を発表した。連結販売台数が6期連続で過去最高を更新したこともあり、売上高は前年同期比6.9%増の1兆6863億円、営業利益は同1.7%増の2121億円となった。
SUBARU(スバル)は2017年11月6日、東京都内で会見を開き、2018年3月期(2017年度)の第2四半期(4〜9月期)決算を発表した。連結販売台数が6期連続で過去最高を更新したこともあり、売上高は前年同期比6.9%増の1兆6863億円、営業利益は同1.7%増の2121億円となった。一方、エアバッグ関連の損失引当金として813億円の特別損失を計上したことなどにより、当期純利益は同48.1%減の850億円だった。
2018年3月期通期の業績見通しは、中国と北米での販売減少を反映して下方修正した。売上高は前回の予想から400億円引き下げた3兆3800億円、営業利益は同300億円減の3800億円、当期純利益は215億円減の2070億円を見込む。対前年比では増収減益となる。
2017年10月27日に発表した完成検査の不備については「国内販売への影響を見通せない」(スバル 社長の吉永泰之氏)。週末の販売店への客入りは、「インプレッサ」の新モデルのデビューフェアを実施した2017年の同時期の8割程度にとどまるが、例年と比較すると顕著な減少は起きていないという。しかし、吉永氏は「重く受け止めており、現時点で販売への影響が軽微だというつもりはない」とコメントした。
通期の業績見通しには完成検査のリコール費用として100億円を計上。同年10月27日の発表時点ではリコール費用は50億円を見込んでいた。「50億円が上限で、それ以上は支払えないと現場が捉えないように、お客さまの信頼回復を最優先するため100億円とした。リコールのやり方や対象台数を変えたのではない」(吉永氏)としている。
中国と米国の販売計画を下方修正
2017年4〜9月期の連結販売台数は、前年同期比1万9300台増(3.8%増)の53万1300台だった。国内販売では軽自動車が前年を下回ったものの、「インプレッサ」「XV」といった登録車が好調で同21.0%増の8万2000台となった。海外販売は同1.1%増の44万9000台だった。
2017年1〜9月の主な地域ごとの販売では、中国を除いて前年から増加した。日本は前年比19%増の14万台で、登録車に限定すると同25%増のプラスだった。2017年5月に発売したXV、運転支援システム「EyeSight(アイサイト)」の新機能「ツーリングアシスト」を同年8月に搭載して投入した「レヴォーグ」「WRX」が好調だった。
米国は、クロストレック(日本名XV)やインプレッサがけん引して前年比7%増の47万9000台に増加した。セダン系の市場環境が厳しく「レガシィ」は前年比21%減の3万7000台だったが、スバルの米国販売としては71カ月連続での前年超えが続いている。
販売の勢い自体は鈍っていないが、米国の2017年1〜12月の販売目標は年初に計画した67万台から2万台減となる65万台に下方修正する。インセンティブを増やさず、在庫を過剰に持たない健全なビジネスモデルを維持できる水準に見直した。2018年3月期通期では北米の販売台数が9期連続で過去最高を達成する見通しだ。
中国では、他社の新型車投入や値引きによる販売競争の激化を受けて、前年比34%減の2万2000台だった。XVの導入や試乗会などで販売の底支えを図るが、中国の2017年1〜12月の販売目標は当初の計画から1万2000台減らした3万1000台とする。これにより、2017年1〜12月のグローバル販売計画は、年初に発表した前年比8%増の109万台から前年比4%増の105万1000台に変更する。
スバル 代表取締役専務の日月丈志氏は「中国市場は従来より台数の増加幅が小さくなっているとはいえ、増え続けているし絶対数も大きい。他の地域と同様にセダンからSUVにシフトし、他社もSUVに注力した結果、銘柄が増えた。輸入車に対する関税やインセンティブの掛け方によって、ブランドの存在感のアピールと価格競争の両方でわれわれは厳しい環境に置かれている。中国市場での戦い方を見直す議論を進めている」と説明した。
この他、2017年1〜9月の販売はカナダが前年比10%増、豪州も同13%増と好調だった。
2018年の米国販売に向け、新型車である3列シートSUV「アセント」の投入の準備も進んでいる。吉永氏は「当初に立てたアセントの月間販売目標5000台では低いと現地のディーラーから言われている」と手応えを語った。また、日月氏は「計画当初よりも3列シートSUVの市場が拡大している。アセントによってラインアップが増え、これまで取れていなかったお客さまにもアピールできる。アセントの投入を機械に販売を加速させる」とコメントした。
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