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手足を冷却して抗がん薬副作用のしびれを予防医療技術ニュース

京都大学は、抗がん薬の副作用であるしびれを、手足を冷却することで予防する手法を発表した。同成果により、患者が生活の質を維持しながら、安心して抗がん剤治療を受けられることが期待される。

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 京都大学は2017年10月16日、抗がん薬の副作用であるしびれを、手足を冷却することで予防する手法を発表した。同大学大学院 医学研究科 教授の戸井雅和氏らの研究グループによるもので、成果は同月12日、医学誌「Journal of the National Cancer Institute」に掲載された。

 研究では、抗がん薬「パクリタキセル」の治療を受ける乳がん患者40人を対象とした。パクリタキセルの点滴中に、−25〜−30℃下で冷やした冷却用グローブとソックスで利き手側の手足を冷却し、逆の手足には何もせずに12週間以上の抗がん薬治療を行った。

 その後、冷やした利き手側と何もしていない非利き手側で手足の症状を比較。冷却しなかった手足では、半数以上の人が、物を落としたり、歩きにくいなど日常生活で支障が出る程度のしびれを感じていたが、冷却した手足にそうしたしびれを感じる人は数%しかいなかった。生活に支障が出るような中〜重度のしびれを感じるまでの期間についても、冷却した手足は病状進行のリスクが87%低くなることが分かった。

 また、しびれや違和感などの自覚症状だけでなく、触覚や温度感覚、手先の器用さの変化についても、冷却によって悪化予防ができることが分かった。

 今回の成果により、治療を受ける患者のQoL(生活の質)が向上することが期待される。今後、同冷却技術を適正に臨床現場で施行するために、保険適応や機器の提供、スタッフの充実を図ることが望まれる。

 パクリタキセルによる手足のしびれは、投与した患者の67〜80%が経験するが、その詳細なメカニズムは明らかになっていなかった。しびれに有効な治療方法はなく、しびれが原因でがん治療を断念せざるを得なかったり、がん治療後に生活に支障をきたしたりするケースが多く、予防手段の開発が求められていた。

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利き手側の手足を冷却し効果を検証(クリックで拡大) 出典:京都大学
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手足の冷却に用いるグローブとソックス 出典:京都大学

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