生産計画の手順をAIが学習、自動的に最適化するサービスを提供開始:製造ITニュース
日立製作所は、生産計画の熟練者の手順などをAIが学習することで生産計画を最適化する「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」の提供を開始した。熟練者の生産計画立案を再現し、柔軟な計画組み替えにも対応する。
日立製作所は2017年10月24日、生産計画の熟練者の手順などをAI(人工知能)が学習することで生産計画を最適化する「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」の提供を開始した。
同社が鉄道の運行管理分野などで培ってきた数理最適化技術と、AIによる機械学習を連携した独自の制約プログラミング「Hitachi AI Technology/MLCP」を活用している。制約プログラミングは最適化技術の1つで、制約条件を満たす答えを見つけ出すプログラミング手法だ。最適解を素早く抽出する他、熟練者の生産計画立案を再現できる。
設備の稼働状況や納期、コストなどの多くの制約条件と、AIが学習した熟練者の計画立案のパターンなどから、多品種、多工程の製品を対象に最適な生産計画を自動的に導出。また、日々の需要変動や環境変化などに対応した柔軟な計画組み替えにも対応する。計画立案に関する業務を理解するため、専門チームが調査やインタビューを行い、日立のデータアナリティクス・マイスターの解析する製造現場のデータをかけ合わせて熟練者のノウハウをシステムへ組み込んでいく。
同社は新日鉄住金と共同で同サービスの共同実証を行い、熟練者の生産計画の一部について再現性を確認。2018年8月より本格的な実証環境を整備する予定だ。今後、熟練者の生産計画と同サービスで算出した生産計画の比較、検証を進める。
さらに、この共同実証例をIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「Lumada」のユースケースとして、製造業の生産計画の他、小売・流通における配車計画、交通・運輸の配送計画など他業種における計画業務へも幅広く展開していく予定だ。
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