自動運転の先、クルマは何とつながるのか:東京モーターショー 2017レポート(3/3 ページ)
「第45回東京モーターショー 2017」内の「TOKYO CONNECTED LAB 2017」は、自動運転の先に見えてきた「クルマがつながる」未来のモビリティ社会における新しい価値や社会とのつながりがテーマだ。国内大手自動車メーカー3社の展示を中心にレポートする。
車内と車外を分けるデンソーの「コネクティッド電子基盤」
デンソーは、つながるクルマを実現していく上で求められる「コネクティッド電子基盤」を紹介した。
自動車は、自動車単体としての機能をつかさどる車内向けの電子基盤が重視されてきた。しかし、つながるクルマになれば、車外と通信することにより、従来にない新しいサービスなどが可能になる。コネクティッド電子基盤では、自動車本来の走る、曲がる、止まるに関わる機能を担当する電子基盤(車内)と、車外との通信によって実現されるサービスを扱う電子基盤(車外)から構成される。
コネクティッド電子基盤の適用例も挙げており、もしもの事態に備える「走行環境の先読み」と最適な状態を維持できる「車両情報の先読み」は電子基盤(車外)で、発生した障害に備える「サイバーセキュリティ」は電子基盤(車内)で対応するとした。
一見“つながるクルマ”と関係なさそうだが……
IHIと自動車業界の関わりで最初に思い付くのはターボチャージャーだろう。しかし、TOKYO CONNECTED LAB 2017で展示したのは、ITS(高度道路交通システム)の路側機として、交差点での車両や歩行者を検知する3次元レーザレーダや、EVの充電を容易にするワイヤレス給電技術、燃料電池車への水素供給に役立つ二塔式ガス化炉「TIGAR」などだ。「将来のモビリティにIHIがさまざまな取り組み進めていることを広く知ってもらいたいと考え出展した」(IHIの説明員)という。
ガラスメーカーであるAGC旭硝子も、一見して“つながるクルマ”と関係はなさそうだ。しかし「発見!あったらいいかも、こんなガラス!」をテーマに、フロントガラスやドアウィンドウ、コーナーウィンドウ、リアウィンドウ、ルームミラーなどへの技術適用例をコックピット型の展示でアピールした。「人とクルマの間で情報をやりとりするときに、ガラスはその窓口になる。“つながるクルマ”と人のインタフェースだ」(AGC旭硝子の説明員)という狙いがある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- コネクテッドカーがもたらす自動車データ流通の衝撃
コネクテッドカーによって自動車データが流通する未来に向けて、転換期を迎える自動車業界。米国ミシガン州で開催された「TU-Automotive Detroit 2017」のレポートを通してその激動をお伝えする。次代のアマゾン、ウーバーといわれる、自動車データ流通で注目を集めるベンチャー・Otonomo CEOのベン・ボルコフ氏へのインタビューも行った。 - IoTでつながるクルマの未来――コネクテッドカーに向け電機業界がなすべきこと
今後の製造業の発展に向けて必要不可欠とみられているIoT(モノのインターネット)。本連載では、IoTの現在地を確認するとともに、産業別のIoT活用の方向性を提示していく。第2回は、つながるクルマ=コネクテッドカーとしてIoT端末の1つになる自動車を取り上げる。 - トヨタのコネクテッド戦略は3本の矢、「IoT時代の製造業の在り方を切り開く」
トヨタ自動車は、東京都内で会見を開き、同社のコネクテッド戦略を説明。2016年4月に新たに発足したコネクティッドカンパニーのプレジデントを務める専務役員の友山茂樹氏は「IoT時代の新しい製造業の在り方を切り開くため、モビリティサービスのプラットフォーマーになる」と強調した。 - ルノー日産がコネクテッドサービス基盤を共通化、約1000人の組織で開発も強化
ルノー・日産アライアンス(ルノー日産)がコネクテッドカーやモビリティサービスの方向性について説明。責任者のオギ・レドジク氏は、ルノー、日産、インフィニティ、ダットサンなどルノー日産傘下の全てのブランドで、コネクテッドカーに必要なプラットフォームを共通化する方針を打ち出した。 - コンチネンタルが目指す“完全な”コネクテッドカー、通信業界との連携強化
Continental(コンチネンタル)が、“完全なコネクテッドカー”の実現に向けて、技術開発を急ぐ。異業種とも積極的に協業してソリューションをそろえている。