バーコードリーダーの種類と特徴:いまさら聞けない工業用バーコードリーダー入門(4)(2/2 ページ)
製造現場におけるワークや工具の管理など、自動化の大前提として工場を支えている工業用バーコードとバーコードリーダー。本連載では工業用バーコードとバーコードリーダーの基礎的な知識をおさらいします。第4回は工業用バーコードリーダーの種類について紹介します。
画像処理式リーダー
画像処理式リーダーは、基本的にコードの画像を取り込むデジタルカメラで構成される。その後、画像処理ソフトウェアを実行しているマイクロプロセッサがコードを検出、デコードし、結果として得られたデータをネットワーク経由で配布するという仕組みとなっている。
画像センサーを選択するときにまず見なければならないのが解像度である。画像解像度は、1つの画像を構成するピクセルの数を表している。
アプリケーションに適した画像処理式リーダーの解像度を判断するときに、最もよく使われる条件の1つに、1モジュールあたりのピクセル数(PPM)がある。PPMは、カメラの1方向の解像度(例えば、標準的な解像度のリーダーでは480ピクセル)を、視野のY方向の長さ(50mm)で割って導いた数値と、コードのサイズ(mm)をモジュール数で割って(12mm/22モジュール)導いた数値を掛け算して求める(5.2PPM)。画像処理式の工業用コードリーダーで実行されている構成用アプリケーションや画像処理ソフトウェアで簡単にPPMを計算できる。
画像処理式リーダーでは、画像を撮影するので、カメラ(画像センサー)そのものに加えて、レンズや照明なども重要となる。
コードの画像を鮮明に取り込むのに大きな役割を果たすのが光学系である。高品質の画像処理式リーダーには、指定されたワーキングディスタンスでコードの画像を取り込むために必要な解像度に応じ、SマウントレンズとCマウントレンズの2つのオプションがある。
その他、リキッドレンズなどの技術も存在する。リキッドレンズは、電荷を利用して水と油2種類の液体の接触面の形状を変化させ、焦点距離を変えるという仕組みのレンズだ。ズームレンズとは異なり、リキッドレンズに可動部分はなく、モータも必要としないため、機械式の光学系やオシレーター式レンズよりも堅牢だという特徴を持つ。
明瞭なコード画像の取り込みには照明も重要な役割を果たす。ラベルに印刷されたコードからドットピーン刻印まで、あらゆるコードを正確に読み取れるようにするために画像処理式工業用リーダーには通常、照明オプションが付属している。
主に、明視野、暗視野、拡散ドーム照明の3種類の照明が付属されるケースが多い。明視野はコードを構成するマークを黒く映す。暗視野はマーキングされたコードの周りの領域を黒くするローアングル照明を使用し、ドットピーンやくぼみのあるコードの読み取りに最適である。拡散ドーム照明はホットスポットを減らし、コントラストの高い画像を生成するため反射しやすい部品や湾曲した部品での使用に最適である。
工場用通信プロトコルへの対応
工場内にはさまざまな通信プロトコルが利用されているが、画像処理式リーダーの高付加価値モデルなどでは、イーサネット、USB、RS-232、ディスクリート入出力、Ethernet/IP、PROFINET、Modbus TCP/IP、SLMPなど、広範囲にわたる工業用通信プロトコルに対応している。これにより、リーダーと工場ネットワークとの連携が簡略化できる。リーダーと工場用ネットワークの連携が容易になれば、製品の追跡情報の読み込みや送信だけでなく、読み取り不可や読み取りエラーが発生した際の画像のアーカイブなども簡単に実現可能となる。
例えば、画像を確認することで、コードプリンタが十分なコントラストで印刷していないことや、ドットピーンのヘッドの交換が必要なことを運用スタッフに知らせることなども可能となる。リアルタイムで性能を評価し統計的プロセス制御(SPC)を提供できるという点でも、画像処理式リーダーの価値は高まっている。
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