消費電流98%減で実装面積も6割削減、TIの車載マルチスイッチ検出インタフェース:車載半導体
Texas Instruments(TI)は、ボディーエレクトロニクス向けには、デバイス単独で最大54個のスイッチやセンサーからの入力を監視するマルチスイッチ検出インタフェースを投入する。
Texas Instruments(TI)は2017年10月19日、東京都内で車載システム向けのソリューションに関する説明会を開いた。TIにとって車載事業は収益の18%を占める重要な分野で、研究開発投資も全体の22%を車載分野に振り向けている。また、2016年の車載向けの新製品数は2014年比で2倍に増えた。
会見にはTI オートモーティブシステムズ ディレクタのHeinz-Peter Beckemeyer(ハインツ・ピーター・ベッケンマイヤー)氏が登壇。先進運転支援システム(ADAS)、ボディーエレクトロニクス、インフォテインメント、パワートレインの電動化の4分野で、開発期間短縮に貢献するための事例を紹介した。
ボディーエレクトロニクス向けには、デバイス単独で最大54個のスイッチやセンサーからの入力を監視するマルチスイッチ検出インタフェースを投入すると同日付で発表した。従来のディスクリート構成の製品と比較して、消費電流を最大98%低減してμAレベルを達成するとともに、基板実装面積を6割削減する。要求される機能に対応しながらマルチプレクサーやオペアンプ、ADコンバーターなどの外付け部品を集積して1チップ化したことで、周辺部品の点数を大幅に減らした。
ADAS向けには、全周囲表示システムや電子ミラー、ドライバーモニタリングといったカメラを使う機能や、障害物を検知するレーダー技術、センサーフュージョンなど向けに複数のソリューションをそろえる。機能安全要件への適合を支援する設計パッケージ「SafeTI」も提供する。
ベッケンマイヤー氏は「車載向けのレファレンスデザインを100種類以上用意していることが強み」とし、ADAS向けにも複数のプラットフォームに展開可能なレファレンスデザインも展開する。
カメラを多用するADAS向けには、1.3メガピクセルのカメラを最大4台接続できるハブの設計が可能なレファレンスデザインを提案する。4つのカメラからの入力を2組のパラレルビデオポートにまとめてシステムを簡素化することもできる。
この他にも、LED化が進むヘッドランプ、テールランプ向けには、高精度な減光機能をマイコンなしで実現するLEDドライバICのレファレンスデザインを提供している。インフォテインメントシステムでは、ヘッドユニットのUSB Type-Cへの移行や、オーディオの音質向上を支援する。また、電源電圧が48Vのマイルドハイブリッドシステムへは、DC-DCコンバーターの開発プラットフォームを提供する。
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