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電源コンセントが劇的に変わる!「USB PD(Power Delivery)」5分でわかる最新キーワード解説

USBで最大100Wの給電を可能にする「USB PD」。本格普及が迫るUSB 3.1にも含まれており、コンパクトなType-Cコネクタの可能性とともに、新しい給電方式として注目される。

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 今回のテーマはおなじみのUSBインタフェースで最大100Wまでの給電が可能な「USB PD(Power Delivery)」。2014年に策定終了したUSB 3.1にも盛り込まれており、コントローラーチップもサンプル出荷が始まりました。コンパクトなType-Cコネクタの可能性とともに、新しい給電方式として大注目です。

「USB PD」の意義は?

 「USB PD」とはUSB規格のサプリメント(追加仕様)として2012年7月に策定された大容量給電を可能にする仕様のこと。2014年8月11日に改訂版Rev.2.0が発行されている。

 USBは歴史上最も成功したインタフェースといわれるが、その普及の最大のカギになったのがデータ通信と給電を同一のコネクタとケーブルで行えるようにしたことだ。その利便性は従来のインタフェースを大きく凌いでおり、PCの標準インタフェースとして搭載されるや、さまざまな周辺機器が対応するようになった。

 しかし、従来のUSB規格で可能な給電方式は5V 0.5A(2.5W:USB2.0)か5V 0.9A(4.5W:USB 3.0)で、「Battery Charge 1.2」に対応して5V 1.5A(7.5W)までやっと拡張できるレベルであった。PCの周辺機器として重要なプリンタやスキャナ、あるいは車載カーナビ、充電に大電力が必要な高級デジタルカメラなどは従来の給電能力では駆動できず、応用領域を拡大する障壁になっていた。

 そこで、既存のUSB機器との互換性を保ちながら、大電力の給電もできるようにしようというのがUSB PDだ。

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図1 USB PDコントローラーのデモシステム 壁面のコンセント内蔵のUSB PD端子からPC、ディスプレイ、プリンタ、その他の機器に給電している。同じケーブルで各機器間でのデータ転送も同時に行うことも可能だ (資料提供:ルネサス エレクトロニクス)

 USB PDの仕様では、従来のUSB給電方式に加え、12V 3A(36W)、20V 3A(60W)、20V 5A(100W)などの大電力給電が想定されており、多様な給電を要する複数機器を相互に接続し、互いにデータ転送と給電が行える。給電は従来ホストからデバイスへの一方向だったが、USB PDではデバイスからホストへの給電も可能なため、例えば大型ディスプレーからPCに給電しながら、PCからディスプレーにデータを転送するといった使い方も可能になる。

 仕様が決定してから約2年が経過し、対応するコントローラーの製品化が待たれていたが、このほど、ルネサス エレクトロニクスからUSB PD準拠のコントローラーチップ「μPD720250」のサンプル出荷が始まり、やっと製品として実を結ぶ時期が目に見えてきた。写真は2014年8月に開催された展示会でのデモシステムである。

photo 図2 USB PDコントローラ搭載ボードのデモ USB PD対応ケーブルからの信号を既存USB機器のデータ用(USBケーブル)と電源用(電源ケーブル)とに分岐している例。ボードの中央付近にあるのが新開発のLSI (資料提供:ルネサス エレクトロニクス)
photo 図3 壁面のコンセントに内蔵されたUSB PD端子 (資料提供:ルネサス エレクトロニクス)

なぜ大きな給電能力が必要なのか

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