日本版第4次産業革命が進化、製造含む5つの重点分野と3つの横断的政策(後編):製造業IoT(1/3 ページ)
経済産業省は2017年3月に発表した日本版の第4次産業革命のコンセプトである「Connected Industries」を進化させる。より具体的な取り組みを盛り込んだ「Connected Industries 東京イニシアティブ 2017」を新たに発表した。前編では横断的政策について説明したが、後編では重点5分野の取り組みを紹介する。
経済産業省は2017年3月に発表した日本版の第4次産業革命のコンセプトである「Connected Industries」を進化させる。より具体的な取り組みを盛り込んだ「Connected Industries 東京イニシアティブ 2017」を2017年10月2日に新たに発表した。前編では横断的政策について説明したが、後編では重点5分野の取り組みを紹介する。
「Connected Industries(つながる産業)」は、第4次産業革命における日本の産業の未来像を示すコンセプトであり、人間中心であることが日本らしさを示す要素だと前編で紹介したが、その中で「東京イニシアティブ」では重点5分野が明確に示されたことが特徴となっている。具体的には、「モノづくり・ロボティクス」「プラント・インフラ保安」「自動走行・モビリティサービス」「バイオ・素材」「スマートライフ」の5つである。今回はこれらの中で製造業に関係の深い「モノづくり・ロボティクス」と「自動走行・モビリティサービス」を中心に、内容を見ていきたい。
モノづくり・ロボティクス領域への取り組み
モノづくり・ロボティクス領域では、解決すべき課題として「先進欧米企業などへの対抗の観点から、日本の強みを生かした価値創出(エッジ側の強みを生かしたソリューションの提供など)」と「人手不足への対応」の2点を挙げる。
「スマート製造」の実現に向けては、ドイツのインダストリー4.0を筆頭に、主要国が政府の関与なども含め積極的に取り組みを強化する状況である。この中で日本の製造業の将来的な競争力が懸念されている。日本では機械系メーカーが強くグローバルでの競争力を持つ企業が複数存在している。この強みである「技術力」と「現場力」を生かしつつ「人間本位」の考えを維持しながら、ICT(情報通信技術)を活用した「ソリューション志向」の価値生成が重要だと「Connected Industries 東京イニシアティブ 2017」は指摘する。
これらを促進する具体的な取り組みとして、2015年に日本政府や経済産業省が主導しロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)を設立。2016年からは同協議会を中心にドイツとの第4次産業革命に関する連携を推進してきた。2017年3月のドイツのIT展示会「CeBIT 2017」では、「ハノーバー宣言」を締結(※)。閣僚級での連携を発表し、専門家会合なども分野ごとに開催している。
(※)関連記事:日独で第4次産業革命に向けた「ハノーバー宣言」採択、9項目で協力へ
今後に向けては、RRIでこれまで進めている協調領域(国際標準化、サイバーセキュリティなど)の最大化に向けた議論を深めていく他、モノづくりデジタル人材の育成などについても協調領域として新たに検討を行う。具体的なそれぞれの分化会での取り組みは以下の通りである。
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