「第4次産業革命」に抵抗感? 調査で分かった日本の製造業の本音:情報通信白書2017を読み解く(前編)(3/4 ページ)
IoTやAIなどを活用する「第4次産業革命」の動きが活発化している。しかし、国内外の企業を調査したアンケートでは、日本の製造業はこの革命に積極的な姿勢を見せているとは言い難い。いわば、第4次産業革命に対してやや及び腰になっているといえる。
先進国ではダントツに低い第4次産業革命への意識
第4次産業革命に向けた課題にはさまざまな要素が考えられるが、情報通信白書2017では、IoT導入時の制約について国際比較を行った調査結果を示している。
第4次産業革命に対する期待については、日本は個人・企業ともに他国と比べるとポジティブな認識は低い。特に企業にとってのポジティブさは低く、ネガティブに捉えられている現状が分かる。一方で欧米(特にイギリスとドイツ)では、企業における認識が非常にポジティブで、企業が積極的に取り組んでいる状況がうかがえる。
一方、自国以外で第4次産業革命において特に変革がもたらされる(変革をもたらしてくれる)と思う国について聞いたところ、米国は米国以外の企業からの期待感が共通して多く、2位以下を大きく離している状況が見える。ただ、注目なのは、米国に次ぐ国として日本が評価されている点だ。日本では必ずしもポジティブには捉えられていないが、世界の国々からは「日本が何か変革を起こしてくれるのでは」という期待感が予想以上に高いということが分かる。
日本の一般企業およびIoT推進コンソーシアム参加企業(ITAC企業)について、業種別に第4次産業革命に対する期待を見てみると、一般企業では「情報通信産業」への期待が他の業種と比べて高く、次いで「製造業」の期待が高いとしている。一方、「商業・流通」や「サービス業」においてはやや低い傾向がみられる。
第4次産業革命が顕在化するのは「2020年頃」
第4次産業革命が顕在化する(60%以上となる)タイミングに対する各国の企業の見方は、現在から2025年までの間におさまっている。米国は半数が既に顕在化していると回答しており、イギリス・日本(ITAC企業含む)は「2020年頃」が最も多い。ドイツは2025年頃としている。
第4次産業革命で特に変革がもたらされると思われる業種・産業分類については、「情報通信業」が高く、次いで「製造業(自動車以外)」「エネルギー・インフラ」の順番となっている。日本企業では「情報通信業」に集中した傾向が出ており、日本では「第4次産業革命は情報通信業に閉じたもの」との認識が強く出ている。
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