日本の製造業はシリコンバレーを活用できるか、能率協会がスタンフォード大と協業:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
日本能率協会(JMA)は、スタートアップを中心とする米国のシリコンバレー企業と、製造業を中心とする日本企業との間でのオープンイノベーションを促進する事業を開始する。具体的な活動の第1弾として、米国スタンフォード大学などと連携し、2017年11月に「シリコンバレー・ニュージャパン・サミット 2017」を開催する予定だ。
日本能率協会(JMA)は2017年9月19日、東京都内で会見を開き、スタートアップを中心とする米国のシリコンバレー企業と、製造業を中心とする日本企業との間でのオープンイノベーションを促進する事業を開始すると発表した。具体的な活動の第1弾として、米国スタンフォード大学アジア太平洋研究所、ベンチャー企業関連のメディアを展開するIshin Groupと連携し、2017年11月28〜29日の2日間、スタンフォード大学の「Arrillaga Alumni Center」において、「Silicon Valley - New Japan Summit(シリコンバレー・ニュージャパン・サミット) 2017」を開催する。
会見には、JMA 理事長の吉田正氏、JMA 理事でコニカミノルタ 取締役会議長の松崎正年氏、JMA 経営人材センター 副センター長の小宮太郎氏、スタンフォード大学アジア太平洋研究所でStanford Silicon Valley - New Japan Projectのプロジェクトリーダーを務める櫛田健児氏、Ishin Group 社長の片岡聡氏が出席した。
吉田氏は「JMAの創立から75年の間、日本の製造業を中心にプロセス改革などで貢献してきた。しかしデジタル革新が急速に進みつつある今、従来の手法では研究開発や新規事業の開発は難しくなっており、オープンイノベーションが必須になっている。JMAとしても、オープンイノベーションの圧倒的集積地といえるシリコンバレーを活用するための活動を始める必要があると考えた。そこで、日本の製造業のネットワークを持つJMA、シリコンバレーの学術活動で中核を成すスタンフォード大学、同所のスタートアップに関する深い知見を持つIshin Groupの3者でタッグを組むことにした。JMAは、今後も日本の製造業が世界で活躍することを信じており、今回の活動によりその一助になりたいと考えている」と語る。
また櫛田氏は「シリコンバレーのスタートアップは日本の製造業への期待を高めている。これまで日本企業は、シリコンバレーを競合と見なしていたことなどもあって、なかなかシリコンバレーを活用できなかった。しかし、動き出しこそ遅いが、その後の対応は誠実で付き合いやすく、長年蓄積した豊富なデータを持つ日本の製造業は注目を集めつつある。今回の3者の提携は、シリコンバレーに日本の製造業のエキサイティングなところを発信して、課題になっている“動き出し”を支援することが狙いになっている」と説明する。
シリコンバレー・ニュージャパン・サミットは2016年に第1回が開催されており、2017年11月は第2回となる。「第1回は、シリコンバレーのスタートアップ100社に声を掛けたら、60社から興味があるとの返事があった。これは、当初想定よりも良好な数字であり、日本企業への期待が表れていると思う。実際に、コマツやホンダがスタートアップと連携する事例などもあった」(櫛田氏)という。
1日間だけの開催だった第1回に対して第2回は2日間の開催となる。1日目は日本の大手製造業で既にシリコンバレーに進出している企業の事例などに関する講演が日本語で行われ、2日目はシリコンバレーのスタートアップによる英語のプレゼンテーションが用意されている。参加者数は約500人を想定している。櫛田氏は「9月13日時点で34社のスタートアップの参加が決まっているが、今後も増えていく予定だ。今回は、資金調達額が10億円以上で、日本を含めグローバルでの事業展開を検討しているシリーズB以降の有望スタートアップが参加し、直接商談できるようになっている」と述べる。
JMAは、シリコンバレー・ニュージャパン・サミット 2017に併せて公式視察団を派遣する。同イベントへの参加の他、事前研修会、会期中の商談サポート、企業や研究機関などへの視察を組み合わせた内容となっている。「JMAでは、これまでの3年間で6回の視察団をシリコンバレーに派遣してきたが、まだ成功事例は少ない。今回からは、外部との連携によって具体的な成果を生み出していきたい」(JMAの小宮氏)という。
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