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PLM雌伏の10年、これからは飛躍の10年となるかMONOist10周年特別寄稿(2/4 ページ)

2000年代前半から製造ITツール業界で話題になり始めた「PLM」。しかし、MONOistが2007年に開設してからこの10年間、PLMの実際の運用状況はPDMの延長線にすぎなかったかもしれない。しかし、IoTの登場により、PLMは真の価値を生み出す段階に入りつつある。

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なぜCAD/PDMからPLMに発展しづらかったのか

 今から10年前に当たる2000年代中頃を振り返りますと、自動車メーカーなどの大手組立系製造業は、一通り3D CADが浸透しており、特にグローバルのサプライチェーンを必要とする業態では、主にグローバルCAD/PDMベンダーのツールを採用するようになっていました。各社とも次のステージを思案しており、そんな中で、PLMという言葉が多用されていた時代でした。

 私の経験では、当時ある大手製造業のPLM案件に携わっていましたが、中身としてはCAD/CAM/CAE/PDMの側面が強く、本当の意味でPLMを実現するところまではいかなかったというのが実態でした。自社内の他の案件やプロジェクトを見ても、冠に“PLM”とはついていても、実態はそこまで至っていないケースがほとんどでした。

 一般的に見た場合、当時はむしろ製品データ(CAD)と疎結合であるシステムやソリューション(例えば部品表を起点とした)のプロジェクトの方が、PLMのコンセプトに近かった印象があります。

 従来のCAD/PDMからPLMに発展しづらかったことにはいろいろと理由があると思いますが、以下の2点が障害となったのではと感じています。

  • エンジニアリング領域のITソリューションを起源とするCAD/PDMから、全社規模ITとなるPLMへ発展させることの組織的な困難さ
  • 技術的に、組立系製造業のプロセスに沿った製品データ構造(CADデータの部品/アセンブリの関係性)を前提として、他分野のプロセスを組み込むことの困難さ

 その一方で、設計開発領域で活用されている製品データを組み込んでいかなければ、真のPLMを実現できないこともまた事実です。最近の5年くらいで、ようやくPLMの端緒ともいえる、製品データを基軸とする従来のPDMを拡張した業務への適用(例えば技術関連文書の連携管理、開発スケジュール管理と製品データ連携、設計と生産準備領域の有機的連携)も数多く見受けられるようになってきました。

 PLM開発ベンダーの買収という観点でも、例えば米国のPTCは、2011年にALM(Application Lifecycle Management:アプリケーションライフサイクル管理)ソリューションを扱うカナダのMKSを買収、2012年には製品販売後のサービス部品/プロセスを管理する米国のサービジスティクス(Servigistics)を買収しています。またシーメンスは2016年に電子系の設計ソリューションを開発する米国メンター・グラフィックス(Mentor Graphics)の買収を発表しており、各社とも複合領域、製品ライフサイクル全体を意識した動きになっています。

シーメンスに買収されたメンター・グラフィックスも多数のツールベンダーを買収してきた
シーメンスに買収されたメンター・グラフィックスも多数のツールベンダーを買収してきた(クリックで拡大) 出典:シーメンスPLMソフトウェア

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